第224話 二段着鎧対呪装着鎧
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グ……俺達にとっては絶対の好機だ。
「――ハァッ!」
「くッ!」
俺の眉間に伸びる、白い刃。その得物を握る腕に、肘の小型ジェットによる加速を得た外腕刀が当たる。
それによりナイフの攻撃は不発に終わり、刃の切っ先は俺の眉間に触れる直前で勢いを失ってしまった。
「……!」
しかし。
彼女の手は、それだけではなかった。
「うっ……!?」
俺がコンバットナイフの防御に意識を向けている間に――もう片方の手で、自動拳銃を抜いていたのだ。
冷たい銃口が、俺の脇腹に密着する。ここまで近くては――移動速度がどうの、なんて話は関係ない。
逃れる術など……ない。
そのまま躊躇なく、彼女は引き金を引き。
俺は三年前のあの日のように、脇腹を――
『二段着鎧を……!』
「なめるなァァァァッ!」
「……ッ!?」
――撃ち抜かれなかった。
確かに密着されては完全な回避は出来ない。しかし、僅かな動きで着弾する部位を変えることなら可能だ。
以前までの着鎧甲冑なら、撃たれる場所をどこに変えてもゼロ距離射撃を凌ぐことは出来なかっただろうが……二段着鎧の鎧で各部を固めた「救済の重殻龍」は別だ。
撃たれる場所を増加装甲の部分にずらしてしまえば、ゼロ距離射撃にだって耐えられる!
もちろん、迎撃手段を全て乗り越えたこの好機を、逃す手はない。俺は渾身の力を蒼いバーニアと拳に乗せ、ラドロイバーの顔面に叩き込む。
「まだまだァァァァッ!」
『まだまだァァァァッ!』
「あぐ……ッ!」
それだけでは終わらせない。拳を叩きつけた勢いをそのままに、俺達はラドロイバーごと地面に墜落していく。
「う……うぐッ!」
彼女は自分の視界が拳で塞がれたまま、後頭部から地表に激突しようとしている現状を打破しようともがく。が、レーザーの充填が終わっていない上に前方も把握できない状態では、逃れようがない。
そして――俺達は隕石の如き速さを生み出し。採石場の地平を凹ませる衝撃と、夜空を覆い尽くすような砂埃を巻き上げるのだった。
……今までの敵ならば、この一撃だけで勝敗は決まっている。だが――この人間武器庫を制するには、一切の躊躇も妥協も捨てねばならない。
俺は墜落の衝撃音が止む前に、Gの圧力に軋む身体に鞭打ち――ラドロイバーの後ろ手を取って関節を決める。
『これで――』
「――全て終わりだ」
「……」
――金剛拳「吊上捕」。こうなっては、もう彼女に逃げ場はない。
下手に動けば、肩が外れる危険な技だ。抵抗すれば余計に痛い目を見る技だということは……今食らっている彼女自身、よく理解していることだろう。
「――お前には
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