第223話 黒曜の兜
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するもんか……」
「龍太君……」
「……ってな! さ、あとは任せたぜ」
「……うん。――負けないでね、龍太君。どんなに、ラドロイバーが強くても」
「おう。兵器じゃ壊せない拳があるってこと、教えてきてやるよ」
これ以上説得してもしょうがない、と判断したのか――救芽井は画用紙を握る手を震わせながら、俺の行動予定を認可してくれた。
その寛大さに応え、せめて少しでも彼女が安心できるようにと――俺は大見得を切り、拳を彼女の前に突き出す。それに対し彼女は承認の証として、自らの拳を俺のそれにぶつけるのだった。
そして、救芽井への挨拶を済ませた俺は、鮎子が操る「超機龍の鉄馬」の推力を頼りに、夜空の海へと飛び出して行く。
――不安げに見守っていた矢村とダウゥ姫に、サムズアップで応えながら。
「……イチレンジ……大丈夫かな」
「……心配したって、しゃあないって。龍太って昔から、こうって決めてもうたらテコでも動かんのやから」
そんな俺の背を見送る妻は。
「――そんなあいつに、アタシは一生ついて行くんやなぁ。ま、そういうのもええよな」
人知れず、諦めたようにため息をついて――無邪気に笑っていた。俺達が、初めて出会った頃のように。
――そして。
月に見守られた空を駆け、ラドロイバーの後を追う俺達に……町とは違う光景が飛び込んで来る。
「あれは……」
『採石場……?』
「……なるほど。確かに、暴れるには丁度いいか」
そこは、かつて古我知さんとの決着の舞台にされていた――廃工場の裏手にある採石場。彼女が言う通り、被害を気にせず全力で戦うには持ってこいだ。
一方、既にラドロイバーはその中央に着地し、いつも通りの佇まいで俺達を待っている様子。だが、その眼はかつてない程に鋭く――冷たい。
「……ようやく来られましたね。別れの挨拶は終わりましたか?」
「……」
採石場に降り立つ俺に対し、ラドロイバーは相変わらずの抑揚のない、無機質な口調で問いかけてくる。そんな彼女に対し、俺は仮面越しの眼光で応えて見せた。
――ここで死なない俺達に、そんなものは必要ない、と。
「……少なくとも、戦意は残っているご様子。場所を変えた意味もなくはなかった、というところでしょうか」
「――言いたいだけ言ってろ。すぐに後悔させてやる。ただ勝つことだけに執着しなかったことをな」
やろうと思えばいつでもやれた。そういう余裕をぶっこいてる奴ほど、足元を掬われれば脆いもんだ。ラドロイバーだって、脆くはならなくとも隙の一つは生まれるはず。
その一つで、さっさとこのバカ騒ぎを終わりにしてやる……!
「執着しておりますよ、勝つことだけに。着鎧甲冑を含めたあらゆる技術を『武力』に変え、何事にも
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