第222話 空戦拳舞
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なのだろう。
ならば、付け込む余地はある!
「取ったァ!」
「……ッ!?」
紙一重で突進をかわされる瞬間。
回避する方向を分析していた鮎子は、ラドロイバーを追うように小型ジェットの軌道を変え――俺はその流れに従いながら、ラドロイバーの右脚を右腕で、右腕を左腕で捕まえる。
そして土手っ腹に首裏を当て、持ち上げるような姿勢に入り――その勢いで激しく回転しながら、グラウンド目掛けて急降下。
「肩車ァァッ!」
「ぐッ……!」
刹那。
地面に墜落していく俺の右腕が、ラドロイバーの右脚から離れ――遠心力と重力に流された彼女の身体は、硬いグラウンドの上に叩きつけられたのだった。
「や、やったぁ!」
「決まった! これで決まりやっ!」
一瞬の中で繰り出された強烈な一撃を目の当たりにして、矢村とダウゥ姫が歓声を上げる。他の隊員達も、声を綻ばせていた。
「……」
しかし、ラドロイバーの恐ろしさを肌で知っている救芽井に、その気配はない。
一方、当のラドロイバーは苦悶の表情で唇を噛み締め、全身を痙攣させている。このまま取り押さえに行くのも手だが――そろそろレーザーの充填が終わってもおかしくない頃だ。
勝負を急がなければならないのは事実だが、深追いして致命傷を負うようなことになっては元も子もない。俺はその場から飛び退き、残心で様子を見ることを選ぶ。
「……」
そして。
ラドロイバーは僅かな間を置き……何事もなかったかのように立ち上がった。
……着鎧甲冑を着ていても、二週間は昏倒しかねない威力なんだけどな。どんな耐久力してんだ、あのコートの下にある実態は。
いや……それを言うならあのコートそのもの……だよな。古我知さん。
「……正直、感服致しました。これほどの性能を発揮し、かつ今の段階でそこまで使いこなせているとは。四郷鮎美につきましては、以前から見込みがあると買っていましたが……あなた方の力も十分、人智を超えていると言って良いでしょう」
「……俺達としてはそんなお世辞より、そのままノビててくれてた方が嬉しかったんだがな」
「世辞などではありません。そんな下らない方便など、あなた方には無用でしょう。――四郷鮎美に匹敵する頭脳を、遠隔操作の擬似コンピュータとして転用する。いい着眼点ですね」
ラドロイバーは口元を不敵に緩め――再び、足裏のジェットで空中に舞い上がる。その瞳は、さらに鋭く――俺達を狙っていた。
「その性能――『救済の超機龍』と二段着鎧とやらのポテンシャルは、まだまだその程度ではないでしょう。ですが、こんな残骸だらけの場所ではあなた方の全力など出るはずがありません。あなた方がよりベストを尽くせる、いい場所を見つけておりますの
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