第222話 空戦拳舞
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だろう。
――赤い閃光が、背後から俺を狙っている以上は。
「鮎子ッ!」
『わかってる!』
俺が叫ぶより早く、鮎子は鎧全体の小型ジェットを停止させる。つまり、失速させたのだ。
全ての推力を失い、重力に引かれて行く俺の頭上を、真紅のレーザーが閃いて行く。判断が僅かでも遅れていたら、今頃は後ろから頭を貫かれていただろう。
向こうは、俺を殺すことに躊躇などないのだから。
「くっ!」
『先輩、あれ!』
「……!?」
一際大きな轟音と共に、俺はグラウンドの上に着地する。そのGの大きさに苦悶する暇もなく、俺は鮎子に促され頭上を見上げた。
そこには――足の裏から赤い炎を噴き出し、空中で仁王立ちを披露しているラドロイバーの姿があった。
「ま、まさか……!」
「アイツも、飛べるってのかよ……!?」
「りゅ、龍太達だけやなかったんか……!」
その光景に、救芽井達は驚きを隠せず――この場を包囲している全隊員も、どよめきを広げていた。
――なるほどな。あの時、燃え盛る船から逃げおおせたのはそういうことだったのか。
別におかしいことじゃない。十一年前、鮎美先生を動かしていた彼女が、先生と同じものを作れないはずがないものな。
いや……むしろ、その上位互換って可能性もある。少なくともこっちは鮎子の操作が要となっているが、向こうのシステムがラドロイバー本人だけで機能してる場合――人力に頼ってるこっちの方が不利になるかも知れない。
いくらコンピュータより優秀な頭脳って言ったって、鮎子自身は人間だ。プログラムされたコンピュータのように、いつまでも働けるわけじゃない。集中力の限界というものがある。
それに彼女はここまで来る道中、ずっと「超機龍の鉄馬」の運転に回っていた。数時間、休まずにだ。
もしこの先、鎧の小型ジェットと並行して「超機龍の鉄馬」の制御まで、なんてことになったら――その負担は、さらに大きなものとなるだろう。
「救済の重殻龍」の強さは、鮎子の並外れた頭脳と集中力に支えられている。その力が尽きる前に、決着を付けなくてはならない!
『先輩……』
「――最速でケリを付ける。もう少しだけ力を借りるぞ、鮎子」
『……うん!』
俺の宣言に、彼女は強く頷き返す。この元気が続いているうちに、勝負を決めねば。
「テァアッ!」
『テァアッ!』
今度は両足で地面を蹴り、先刻以上の推力でラドロイバーに突進していく。
「……!」
彼女はそれに対し、レーザーで迎撃――ではなく、再び身体を捻って回避行動に入ろうとしていた。
――どうやらあの光線、むやみやたらに連発出来る代物でもないらしい。照射している時間も長くはないし、恐らくはエネルギー消費が激しい武装
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