暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第220話 残された時間
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の首脳陣二名には、ここで舞台から降りて頂く』

『……ふむ。どうやら君は一つ、思い違いをしているようだな。――私がそんな殊勝な建前だけでここまで本気になっていると思うかね』
『……なんですと?』

 ――すると。
 伊葉さんの声色が――深く沈んだ色に変わる。今まで、聞いたことのない声だ。

『まだわからんのなら、教えてやろう。エルナ・ラドロイバーを日本に呼び込んだのは、私だ』

 そして、次の瞬間。
 彼の口から、とんでもない情報が飛び出していた。
 ――嘘、だろう。何を考えてそんなこと……!

『……何を仰るのかと思えば。そんなことをして、あなたに何の得があるというのです』
『彼女は「新人類の巨鎧体」の基礎設計を担当し、四郷鮎美を利用してあの超兵器を実現させた。その力、闇に葬るには惜しいと思わんかね』
『一煉寺龍太君を餌にラドロイバーを日本へ誘い込み、その技術を狙った……そう仰るので?』
『その通りだ。龍太君の力でラドロイバーをねじ伏せれば、あの技術は日本のものとなる。その時のお零れを期待しても、バチは当たらんと思うのだがな?』

 牛居さんに自らの陰謀を語る伊葉さんの声は、深い濁りの色を漂わせている。まるで、地獄の底から唸りを上げる鬼のようだった。

 ……バカな。ダスカリアン王国を救おうと尽力したのも、俺にそれを託したのも、ラドロイバーの技術を奪うことへの報酬が目当てだったっていうのか!?
 そんな人が、十一年もかけて復興に力を入れたりするもんかよ!

『――仮に、そういうことだとするならば。私は日本の国土に危難を運んできたあなたを、野放しにはしておけなくなる』
『いいのかね? 私はラドロイバーの情報を握っているのだぞ。取引する価値があるとは思わないのか。それに避難している松霧町の住民も、私の手中にある』
『我々の務めは、この国の平和と安寧を守ること。それを乱す外敵には決して屈してはならない。それが、かつて私が担当していたあなただったとしてもだ』
『――ならばさっさと捕まえに来るがいい。松霧町の人々に、危害が及んでも知らんがな』

 ……一体、伊葉さんはどうしちまったんだ。こんなことを言う人じゃなかったはずなのに……?

『……やはり、あなたは変わらない。どこまでも自分を犠牲にすることしか知らない、愚かな男だ』
『――さて、何のことかな。それより、この会話は総理大臣の耳にも入っているはず。君もさっさと国に仕える者としての務めを果たさねばならんだろう。早くしないと私の操り人形が現場に到着してしまうぞ?』
『承知しています。……伊葉和雅。国家の平和を乱した疑いのあるあなたの身柄、拘束させて頂く』

『……好きにするがいい』

 その嘲るような言葉を最後に、伊葉さんの通信は途絶えてしま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ