第220話 残された時間
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、ラドロイバーに対して多少の脚色は入るかも知れないがね。日本に暗殺の罪を着せるために、来日のタイミングを狙った――と』
「……、……」
『何より、その方が口封じとしては手っ取り早くて我々も助かる。ダスカリアンの首脳部二人が倒れれば、後は所詮烏合の衆。仮に真実を知ったとしても、もはや国家の解体は免れん』
淡々と恐ろしい言葉を、平然と並べている。……これが、俺達のお上だっていうのかよ。
寒気すら感じるその冷徹さに、俺は僅かに言葉を失ってしまう。こいつら、ダウゥ姫を助ける気がないばかりか、この戦いで死んでも上手くそれを利用する気でいやがる。
「……ダウゥ姫は……あの娘は……死にたくない、って、言ってんだぞ……!」
『――そうか。だが、生きていたいという望みが叶わない悲劇はザラにある。仕方のないことだ』
だから……その悲劇のシナリオには俺が邪魔だから、松霧町に行くなって言ってんのか。この男は!
『私を汚いと思うかね。許せないと思うかね』
「……」
『――許せないはずだろう。そう感じる人間でなければ、あの潔癖な救芽井甲侍郎が君を買うはずがない。彼の非武装主義は狂気の域だからね。瀧上凱樹さえ救おうとする程の酔狂さがなければ、ついていけない領域なのだろうな』
俺の怒りを知ってか知らずか、彼の煽るような口調はなりを潜め、少しずつ穏やかな声色に変化していった。
――潔癖、ね。確かに甲侍郎さんを端から見たらそう感じるだろうが……ラドロイバーのような人間に着鎧甲冑の力を狙われてると思えば、ああなるのも納得だ。
『だが、そんな君が君であるために必要だったこの国を守ってきたのは、私達のような政治屋だ。救うべき人間も、捨てるべき人間も、私達が皆、選別してきた。君のような国民を守るためにな。それは、これからも変わりはしない』
「ダウゥ姫は……ダスカリアン王国は、見捨てるべきだっていうのかよ!?」
『その通りだ。あの国との関わりで我が国が得することなど、背負うリスクの重さに比べればないに等しい。世界を股にかける救芽井エレクトロニクスのエースである君一人の方が、よほど保護する値打ちがある』
「……その俺が、助けたいと言ってもか」
『それでも、だ。私達としてもヒーローとして名高い君を、国家に逆らった前科者にしたくはない。君も日本国民なら、日本国民のためにその力を振るってくれたまえ。君が命を張るステージは、ここではないのだよ』
……この連中には、この連中なりの考えがあってのことなんだろう。この男が語るような汚い策略がなければ、俺達の当たり前の幸せが続かなかったって時もあったんだろう。
それは、わかる。綺麗なことだけじゃ世の中は回らないし、純粋な幸せも守れないってこと、わかるさ。
――けどな。それでも俺は、「救
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