第219話 迫る死闘と影
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なんてことだ。ラドロイバーに手痛い一発を浴びせるどころか、却って怒らせてしまった。しかも、当の茂さんはもう身動きが取れない。
今まで手加減していたラドロイバーがこの状況で本気になろうものなら、全滅は必至。……くそッ、最悪過ぎるぜッ! 早く辿り着かないと、皆殺されちまうッ!
『……見事です。私にここまで強力な一撃を浴びせるとは。やはり、只者ではありませんでしたか』
『う、ぐ……!』
『ですが、そろそろあなたも限界でしょう。一兵士としての経緯を込めて、せめて苦しまずに逝かせて差し上げます』
そんな俺の焦りをさらに煽るように、ラドロイバーは茂さんの正面に歩み寄り――彼の眉間に、袖口を向ける。――レーザーで、頭を撃ち抜く気だ。
その時、グラウンドを覆うナイターの光が、スポットライトのように二人を照らす。戦いが長期化したためか、既に辺りは薄暗くなり始めていた。
……ちくしょう。まだなのか。まだなのか、鮎子ッ!
『そこまで、だッ!』
すると、抵抗する間もなく行われようとしていた処刑を――新たな声が遮った。
『……お早いお目覚めでしたね』
『抜かせッ! このワーリ・ダイン=ジェリバン、この程度で屈する武人ではないッ!』
声の主――ジェリバン将軍は震える足に鞭打つように、再び立ち上がろうとしていた。
『ジェ、ジェリバン将軍! 無茶です!』
『ワッ……ワーリっ! ダメ! 絶対にダメだっ! 今行ったら、死んじゃうっ!』
『……姫様。キュウメイ殿。私は、守るべき者のために戦うことこそが、かけがえのない使命なのです。ここで私がいつまでも倒れていては……「将軍」の名折れ』
彼はダウゥ姫や救芽井の制止を振り切り、ついに両の足で立ち上がってしまう。無茶にも程があるぞ、将軍ッ!
『……ヤムラ殿』
『え? ア、アタシ?』
『私に万一のことがあった時、イチレンジ殿に伝えて欲しい。姫様が望まれた未来を、貴殿に託すと。そして――』
そのまま将軍は満身創痍の身を押して、ラドロイバーと対峙する。そんな彼を前にしても――ラドロイバーの表情に、手加減の色はない。
本気で殺すつもりの、顔だ。
『――国の未来を賭けた決闘として、ではなく。ただ純粋に力を試すための勝負を……心ゆくまで、続けたかったと』
それでも、将軍は向かっていく。声にならない叫びを上げ、ただひたすらに――突き進む。
迎え撃つラドロイバーも、その拳を強く握りしめていた。もう、容赦はない。
『イチ、レンジ……早く、来て……来てよぉッ……!』
その時。
彼の背に手を伸ばすダウゥ姫が、涙声でそう呟き――
『龍太君ッ……!』
『りゅ、龍太ぁ……』
『頼む……急いでくれ、龍太君……!』
『旦那ァッ
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