第216話 無謀な乱入者
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怖を覚えていた。
『……、く……!』
常に声を張り上げ、皆を鼓舞していた茂さんでさえ、将軍が一瞬で破られた事実に言葉を失いかけている。
救芽井や古我知さんも、彼女が生むプレッシャーに、飲まれようとしていた。
修羅場をくぐって来たはずの彼ら特殊ヒーローでさえ、こうなのだ。他の連合機動隊やレスキューカッツェは言わずもがな、である。
たった一人が、相手だというのに。こっちは大勢いるというのに。
誰もが、自分達の劣勢を感じていた。
――その時。
『ちょ、ちょっと誰かぁー! そこのアホひっ捕まえてぇーっ!』
この状況で言えば場違いとしか言いようのない声が、周囲に響き渡る。
その声に反応したカメラが向いた先には……本来なら隣町にいるべきである、矢村の姿があった。そして、彼女が息を切らしながら追いかけているのは――
『ダ、ダウゥ姫ッ!?』
――救芽井が戸惑いの声を上げる瞬間、ダウゥ姫が連合機動隊の中へ突っ込んで行く。……やっぱり、予想通りになってしまったか。
『どけどけ! ジャッ――ニホン人ども! ここからはオレの戦場だァッ!』
『きゃっ! ――あ、い、いけませんソレはっ!』
彼女は荒々しく叫びながら、連合機動隊の包囲網の中を駆け抜けて行く。そしてレスキューカッツェの隊員が保管していた、先程撃たれた機動隊員の腕輪をひったくり――
『オレ達の国を滅ぼして、テンニーンを殺した奴ッ! だらしねぇニホン人に代わって、このダウゥ・アリー・アル=ダスカリアニィが征伐してやるぜッ!』
――無謀にも、包囲網を抜けた先に見えるラドロイバーに宣戦布告してしまった。
『あ、あっちゃあ〜……!』
そんな彼女の背中に追いついた矢村も、頭を抱えている。
……とにかく、一秒でも速く松霧町に着かなきゃ取り返しのつかないことになるな。頼む鮎子、急いでくれッ!
――ていうかあの姫様、ジャップじゃなくてニホン人って……?
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