第216話 無謀な乱入者
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うな。
『そのアーマー、経年劣化で随分と質が落ちてしまっているようですね。要請すれば、新しい装備を新調して差し上げますが』
『……御免被る。私とて、ダスカリアンの守り手の一人。敵の施しを受ける程、誇りを捨ててはおらぬ』
『その敵の施しのおかげで生き延びた国に、どのような誇りが残っていると?』
『黙れッ!』
将軍は怒りに任せて身を起こし、腕に装着されたガトリングを構えた。
刹那、火を吹く数多の銃弾がグラウンドの土をえぐり出して行く。巻き上がる土埃は、蛇のようにラドロイバーを狙い――やがて、その全身を覆い隠してしまった。
『やったか!?』
激しい土埃に向けて、誰もが期待と不安をない交ぜにした視線を送る。
軍人として、兵士として戦う将軍に、生け捕りなどという甘い考えは馴染まないのだろう。今の攻撃は、本気で殺しにかかる人間にしか出来ない。
それを受けて、ラドロイバーはどうなったのか。余裕を失う程度か、重傷か。あるいは、死か。
そして。
土埃が晴れた先に、見えた答えは。
『――あなたは、おもちゃで人が殺せると本気で思うのですか?』
……そのどれにも当たらない。最悪の回答だった。
『――お、おのれッ!』
死ぬどころか、重傷どころか。まるで意に介していない。
しかも、防御に使っていたのは片腕一本。それだけで唯一露出していた頭部を、彼女は守り切っていたのだ。
コートの下に着込んでいる「何か」だけでは、こんな芸当はできない。彼女自身も、超人的な身体能力を持っている。
兄貴程ではないが、恐らくは改造手術前の俺に匹敵しかねない。着鎧甲冑がオーバヒートを起こさない、ギリギリのラインで己を鍛え抜いた「準超人」なのだ。
そんな奴が着鎧なんてしようものなら、それこそ手がつけられなくなる。まさか、あのコートの下にあるのは……。
『さて……。あなたは確か、周りを巻き込みたくなかったのでしたね』
『……ッ!?』
そんな俺の思考を断ち切るように、ラドロイバーは意味深な台詞を吐く。そして、自分の足元に落ちた弾丸に手を伸ばした。
彼女が手に取った弾丸は衝撃でひしゃげており、とても銃に込められるような形ではなくなっている。自分が利用しようにも、弾倉に入るとは思えないが……。
いや……まさか。
『では、これはいかがでしょう』
彼女は、銃弾を人差し指と親指の間に挟み込み――
『いかんッ! 伏せろォッ!』
――将軍が叫び、振り返るよりも速く。指で弾き出し――包囲していた機動隊員の一人を、撃ち抜いてしまった。
『……がッ!』
その隊員は、悲鳴を上げる暇もなくマスクの中で血を吐き……膝から崩れ落ちていく。側にいた他の隊員達が反応した頃
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