暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第216話 無謀な乱入者
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うな。

『そのアーマー、経年劣化で随分と質が落ちてしまっているようですね。要請すれば、新しい装備を新調して差し上げますが』
『……御免被る。私とて、ダスカリアンの守り手の一人。敵の施しを受ける程、誇りを捨ててはおらぬ』
『その敵の施しのおかげで生き延びた国に、どのような誇りが残っていると?』
『黙れッ!』

 将軍は怒りに任せて身を起こし、腕に装着されたガトリングを構えた。
 刹那、火を吹く数多の銃弾がグラウンドの土をえぐり出して行く。巻き上がる土埃は、蛇のようにラドロイバーを狙い――やがて、その全身を覆い隠してしまった。

『やったか!?』

 激しい土埃に向けて、誰もが期待と不安をない交ぜにした視線を送る。
 軍人として、兵士として戦う将軍に、生け捕りなどという甘い考えは馴染まないのだろう。今の攻撃は、本気で殺しにかかる人間にしか出来ない。

 それを受けて、ラドロイバーはどうなったのか。余裕を失う程度か、重傷か。あるいは、死か。

 そして。
 土埃が晴れた先に、見えた答えは。

『――あなたは、おもちゃで人が殺せると本気で思うのですか?』

 ……そのどれにも当たらない。最悪の回答だった。

『――お、おのれッ!』

 死ぬどころか、重傷どころか。まるで意に介していない。
 しかも、防御に使っていたのは片腕一本。それだけで唯一露出していた頭部を、彼女は守り切っていたのだ。

 コートの下に着込んでいる「何か」だけでは、こんな芸当はできない。彼女自身も、超人的な身体能力を持っている。
 兄貴程ではないが、恐らくは改造手術前の俺に匹敵しかねない。着鎧甲冑がオーバヒートを起こさない、ギリギリのラインで己を鍛え抜いた「準超人」なのだ。
 そんな奴が着鎧なんてしようものなら、それこそ手がつけられなくなる。まさか、あのコートの下にあるのは……。

『さて……。あなたは確か、周りを巻き込みたくなかったのでしたね』
『……ッ!?』

 そんな俺の思考を断ち切るように、ラドロイバーは意味深な台詞を吐く。そして、自分の足元に落ちた弾丸に手を伸ばした。
 彼女が手に取った弾丸は衝撃でひしゃげており、とても銃に込められるような形ではなくなっている。自分が利用しようにも、弾倉に入るとは思えないが……。

 いや……まさか。

『では、これはいかがでしょう』

 彼女は、銃弾を人差し指と親指の間に挟み込み――

『いかんッ! 伏せろォッ!』

 ――将軍が叫び、振り返るよりも速く。指で弾き出し――包囲していた機動隊員の一人を、撃ち抜いてしまった。

『……がッ!』

 その隊員は、悲鳴を上げる暇もなくマスクの中で血を吐き……膝から崩れ落ちていく。側にいた他の隊員達が反応した頃
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ