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フルメタル・アクションヒーローズ
第215話 金銀銅の包囲網
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救芽井を相手にしていた時よりも僅かに鋭い。
 彼女よりも厄介な敵だと、先程の連携攻撃で察知したのだろうか。
 一方、三人側の一人――将軍は、まずテイザーライフルを凌ぐ装甲を破壊しなくてはならないと見たのだろう。右腕に搭載されたガトリングを構え、その銃口をラドロイバーに向ける。

 しかし、その場で彼が引き金を引くことはなかった。

『……くッ』
『町を巻き込むから迂闊に撃てない――ですか。相変わらず、言い訳だけはお上手ですね』
『黙れ! 貴様のような卑劣な女が、何を言うのか!』

 そんな彼を揶揄するラドロイバーの言い草に、将軍も怒りを露にする。
 その怒号を受け、鋭い目つきをさらに細める彼女は……一つの提案を示した。

『――いいでしょう。ならば松霧高校のグラウンドに場を移しましょうか。あそこなら多少派手に暴れても、被害は薄いでしょう』
『な、なんだと……!?』
『ガトリングが使えれば勝てた。そんなありもしない可能性を根拠に、勝てる希望を持たれても迷惑ですから』

 それだけ言い残すと、ラドロイバーは一飛びで松霧高校の方へ向かってしまった。
 その背を見送り、ほんの数秒。将軍は逡巡するように顎に手を当て――決意するように、顔を上げる。

 ――行く気なのか、将軍。

『ジェ、ジェリバン将軍……』
『……一人で行くつもりか。将軍』
『コガチ殿、ヒサミズ殿。貴殿らは下がっていてくれ。巻き込んでしまっては、また同士討ちになる』

 その言葉に、古我知さんと茂さんは俯くことしか出来なかった。そんな二人の姿をしばらく見つめたあと、将軍は踵を返して松霧高校に向かっていく。

 一方、瀬芭さんのカメラはその背中を静かに追っていた。――その時。

『イチレンジ殿』

 振り返る彼のカメラに合わせた目線が、俺の視界と交わる。

『恐らく、私は奴には敵わぬ。この鎧を作ったのは奴だ、間違いなくこちらの手の内は知り尽くしているはず』
「……」
『だが、奴の力という情報を引き出すことは出来よう。敵を知り、己を知り――奴に屈せぬ術を掴んでくれ』

 その言葉を最後に彼は再び背を向け、歩き出して行く。
 確かに、俺にはありがたい話だ。――しかし、あんたはどうなる。
 あんたを拠り所にしてる姫様が、悲しむようなことになったら……どうすんだよ、あんたは。

『全機動連隊、松霧高校を包囲! ネズミ一匹逃がすな!』

 茂さんがG型部隊一同に指令を下す一方で、そんな考えが俺の脳裏を巡っていた頃。

『んっ……?』
『どうしたんだ、樋稟ちゃん』
『……隣町から通信だわ。どうしたのかしら……。はい、こちら救芽井分隊』

 古我知さんに保護されていた救芽井が、通信を受けたらしい。誰かと話している声が僅
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