第211話 女傑の怒号
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『乳を絞る』
そして、その演説の締めとなるダブルパンチの脅しを受けて。
『ひッ……!』
『ひひぃ……!』
連合機動隊は股間を、レスキューカッツェは胸を隠して、震え上がってしまった。
あ、あの、逆に戦意喪失してるんじゃあ……。
『……全く。フラヴィさんとジュリアさんたら……』
『まぁ、あれくらい肝が据わってる方が見ている側としては頼もしいがね。ところでキュウメイ殿。イチレンジ殿の現場到着は何時頃になりそうか?』
『は、はい。鮎美先生からの連絡だと六時過ぎになるかと』
『そうか……それまでに、奴を補足出来ればいいのだが』
一方、フラヴィさん達からやや離れた場所にいる救芽井は、ジェリバン将軍と今後の方針を巡って話し合っていた。
『……あの』
『ん?』
『その……ダウゥ王女のことなのですが』
『……姫様のことなら、心配あるまい。ヤムラ殿やイチレンジ殿の御家族と共に隣町まで移られておる以上、すぐに奴も襲いには行けぬであろう。カズマサ殿も付いておるし、ヤムラ殿とは随分打ち解けている様子。私達は私達の使命を果たせば――』
『この戦いが終わっても、決闘を続けるおつもりなのですか? どのような結末が、待っていたとしても』
問いかける救芽井の声は、切なげだ。豊かな胸に当てられている手も、微かに震えている。
「銅殻勇鎧」を纏う将軍は、その問いに僅かな間を置き――応える。
『……貴殿も、先の見えない未来を案じなら、あの少年を慕う人生を選んだのだろう。それと同じだ』
『そ、それは……!』
『どのような結末が待っていたとしても、人は己が信じる道しか歩めぬ。正義の是非は、後の未来に生きる人々にしかわからぬこと。勝てば官軍、負ければ賊軍。実に単純であり、真理に近しい道理だ』
『王女様と民を死に追いやる未来が、あなたにとっての官軍だとでも言うの!?』
『少なくとも姫様にとっては、日本に屈して事実上の属国となることこそ死に値している。それが変わらない限り、姫様に仕える私の正義も変わりはしない』
『……』
救芽井の反論をねじ伏せ、将軍は遠方を見遣る。遠いふるさとに、思いを馳せているのだろうか。
『……わかりました。今はこの戦いに集中します』
『それがよかろう。まずはラドロイバーを倒さねば、決闘どころではないからな。イチレンジ殿の体調も気掛かりだが――』
『――きっと、大丈夫ですよ。龍太君は負けません。絶対に、誰にも、負けませんから』
『……そうか。頼もしいな』
そんな彼に対し、救芽井は苦し紛れのようにその一言を呟く。やはり彼女にとっても、納得の行かないところは多かったのだろう。
将軍に食ってかかる彼女の姿はいつになく、感情的になっているように見えた。
『全隊員集合! こ
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