第204話 茶番劇の終幕
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わない、さ。そうしなきゃ救われない命だってある。これで死んじまったなら、俺はそこまでだったってことさ)
(そうか――なら、オレが殺してやる。そうすれば、身の程を知るだろう?)
(……上等)
俺の吐血など、お構いなしに。
満身創痍のまま、俺達は相対する。
膝をつき、震えたままの俺を、黄金の鉄人はただ冷ややかに見つめている。その手に、銃身から切り離した電磁警棒を握り締めて。
四郷姉妹が制止を求める叫び声を上げているようだが……もう、彼女達の声は届かない。
届くのは――
「終わりだァァァァッ!」
――茂さんの、哀れみを孕んだ絶叫のみ。
その振り下ろされた電磁警棒を前に、俺は自分自身に迫る死を悟る。
電磁警棒といえど、超人の膂力から放たれる金属棒の一撃には違いなく……この弱り切った身体に直撃すれば、命にも関わる。
それを知った上で、茂さんはとどめの一撃を振り下ろして来たのだ。俺を、殺すために。
だが、それは必然。死を賭した戦いの中では避けられない現実。
俺自身、そんな戦いを乗り越えてきたからこそ、今の姿がある。
だから――恐れることなど何もない。俺は精一杯、自分に出来る限りを尽くしたのだから。
恐がることなんて――何も。何も、ないはずなのに。
ちらつく。
救芽井。鮎子。鮎美先生。久水先輩。古我知さん。伊葉さん。甲侍郎さん。華稟さん。親父、母さん、兄貴。町のみんな。
そして――矢村の顔が。
ちらついて、離れない。そんなものを見せられたら、悔いが残るというのに。
胸の奥。その最も深い底に封じたはずの、恐れが。噴き出してしまうというのに。
(――死ねない。俺は、まだ!)
誰かがそう叫んだ時、俺は咄嗟に顔を上げる。そこには……矢村の顔――よりも、よく知っている姿があった。
……俺だ。
救芽井と初めて会って、古我知さんと戦うことになった、あの頃の。
歪みも何もない、ただ自分の中にある正義感にだけ従い、戦っていた、あの日の俺だったのだ。
その姿は自身の血に汚れても決して諦めず、目の前の敵に食らいついている。
――そうだ。俺は、こういう奴だったはずだ。
バカで世間知らずで、何が正しくて間違いかなんて、考えもしないで。
それでも――目の前にある命と幸せを、諦めたりなんか、しない奴だったはずなんだ。
そうだ……だから。
俺は……まだ……!
今は、まだッ……!
「……ま、だだァァァァアアッ!」
迸る恐れ。生きることへの執着。そして、蘇った自分自身の生き方。
その全てが糧となり、俺の身体を思うままに動かして行く。
「むうッ!」
「俺に
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