第203話 雄の性
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突き出される稲妻の銃剣。
その唸る切っ先から、さらに奥へ踏み込み――電磁警棒の柄に当たる部分へ、拳を伸ばす。そして、下から突き上げるように拳を打ち出し……弾く。
「むうッ!」
「銃剣の主要な戦術は刺突! こうして踏み込めば突きは打てず、さっきのような切り離しも間に合わんッ!」
「ぬかせぇッ! 突きと切るのみが銃剣ではない! もう一度この銃床を味わってみるかッ!」
その崩しを見越して、茂さんは突き上げられた弾みを転用し、上方へ回る銃剣の流れを活かして銃床をぶつけてくる。下方から迫る琥珀の鎚が、風を切り裂き轟音を上げた。
――が、そんな手にいつまでも引っかかる俺ではない。今度はその銃床の一撃、こちらが利用させてもらう。
「とオッ!」
「……んぬッ!?」
銃床が弧を描き、俺の顎に向かい始めるよりも速く――俺の足裏が、その鎚に触れる。そして銃床が打ち出すその衝撃は「期待」以上の効果を発揮し、俺の身体を遥か上空へと打ち上げるのだった。
「……とッ……!」
「飛んだ!? だけど、あれじゃ……!」
「真上に飛んで重力を利用したところで、迎撃されたら意味がない……。しかも、お兄様は既に位置を把握している。あれではただの的でしかなくてよ、龍太様……!」
女性陣は俺の判断に驚いているようだが……すぐに俺が置かれている状況に気づいたようだ。
確かに、ただ高く飛んで真上を取ったくらいでは、優位になど立てはしない。現に、茂さんはもう俺を発見し、銃剣を構えている。
このまま落下の勢いを活かして攻撃を仕掛けようにも、その前に電磁警棒の一閃を浴びてしまえばダウンは必至。なにしろ、こちらは人工内臓で生かされている半死人なのだから。
「万策尽きたな、一煉寺龍太。銃床の一撃を恐れる余り、空中に飛んで難を逃れたつもりだろうが――真上に上がってしまっては、ただの動かぬ獲物も同然」
「――獲物はどっちか、じきにわかるさ。あんたの方こそ、さっさとそこから離れた方がいいんじゃないか?」
「戯れ言を……と、言いたいところではあるが。貴様のことだ、迎撃を浴びて刺し違えようとも、オレを殴り倒すつもりだろう。……せっかくの真剣勝負なんだ。せめて一瞬でその意識、刈り取ってやる」
茂さんは寸分たりとも俺から目を離さずに、静かに銃剣を構え――待ち構える。俺の身体も重力に引き寄せられるように、その瞬間へ向けて動き始めていた。
勝負は一瞬、チャンスは一度。この一閃で、茂さんの急所に手痛い一発を叩き込み――この決闘に終止符を打ってやる。
そうだ。矢村のためにも、俺は、絶対に……!
「――勝つ!」
大気の壁を突き抜け、空間を破るように。俺の赤い身体は、眼前の強敵へ吸い寄せられて行く。茂さんも決着の一瞬に備え、銃剣の
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