第200話 雷の銃剣
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……銃剣?
「『電磁銃剣サムライダイト』。我々の茶番は、ここからだ」
「……フェンサーとは思えないチョイスだな。そんな妙な得物、ちゃんと扱えるのか」
「フェンシングなら、封印した」
「なに?」
茂さんは淡々と言葉を並べ、静かに切っ先をこちらへ向ける。
これは――慣れない武器の構え方じゃない。隙が、見えない。
「言ったはずだ。貴様の強さは、よく知っていると。こだわりも浪漫も何もかも捨て去り、古臭いと嫌ってきた家伝の武術に縋ってでも強くならなければ、オレは貴様には敵わない」
「家伝の、武術……?」
「その代償を払った先に勝利があるなら――貴様の無事を望む梢が喜ぶなら、オレはこの銃剣を選ぶ。オレ自身が望んでいた、西洋の剣よりもな」
「……そうかい。だったら先輩のためにも、さっさと俺を仕留めるこった。強さを証明しなきゃ自分の正義を通せないと言ったのは、あんたの方――」
言い終える暇もなく。
俺の眉間を、電磁警棒が捉えていた。
「……ッ!?」
「貴様に、言われるまでもない」
間一髪、頭を右に躱して命拾いした俺の顔面に、今度は銃床が弧を描いて襲い掛かる。
回避は間に合わない。本能でそう察した俺は、無意識に十字に構えた両腕で受け――吹き飛ばされた。
「うぐあっ……!」
石畳の上を跳ね、ダウンを取られる。しかし、寝転がっていてはテイザーライフルの餌食。
俺は追撃を警戒し、息を荒げながら素早く体勢を立て直す。向こうは、一寸の乱れもなく静かに構え直していた。
――なんなんだ、この速さは。これは「龍を統べる者」の性能だけじゃないぞ……!
「久水流銃剣術。シベリア出兵に参加していた時の当主、久水忍が大正時代に編み出した古流武術だ。代々、久水家当主の護身の技として受け継がれている。もっとも、オレの好みじゃないがな」
……何が好みじゃない、だ。
手が付けられないくらい極めた動きしやがって……!
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