第200話 雷の銃剣
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
――「龍を統べる者」、か。大層な名前を付けやがる。
つまり、俺の名を使った全ての着鎧甲冑の上に立つ鎧ってことかよ。茂さんらしいな。
だが……あの琥珀色の小銃が気になる。あれが久水先輩の云う新型装備って奴か?
「随分ゴテゴテした矛だな。そんなんでまともに動き回れるのかよ?」
「直に戦えば、その余裕も一瞬で消し飛ぶ」
俺の挑発も意に介さず、茂さんはただ静かにこちらを見据え、出方を伺っていた。
やはり違う。一年前の時とは、根本から。
フェンシングの構えによる軽快なステップもない。それどころか、腰に提げた電磁警棒を抜いてもいない。
まるで別人と対峙しているかのように錯覚してしまう。今の彼が纏う気迫は、フェンサーの色ではない。
むしろ――俺に近い、日本の武術家の色だ。
「……」
「……来るか」
茂さんを中心にして円を描くように、俺はすり足でその場から移動する。足音を立てることなく、地の上をゆっくりと、滑るように。
――そして、茂さんがこちらに合わせて体の向きを変える、直前。
「……ホワチャアアアアッ!」
俺の軸足に眠る獅子が、眼前の敵に牙を剥く。
地面をえぐるように蹴り飛ばし、俺の身体は一気に黄金の兜に飛びかかった。
――反応する隙も与えず、速攻で脳に飛び蹴りを決めてやる。それで倒れるタマじゃないだろうが、ダメージはあるはず。
手の内を見せる気がないってんなら、その気になる前に畳み掛けてや――!?
「ぬるいッ!」
「――ッ!?」
膝から先が――蹴り足が、上がらない。
止められたのだ。小銃で、蹴り足を出すための膝を。
「……は、やッ……!?」
しかも茂さんは俺の蹴りを止めるために、今の一瞬でこちらの間合いに踏み込み、膝を押さえ込んで蹴りを止められる距離まで接近していた。
反応出来なかったのは、俺の方。茂さんの移動速度は、俺の見立てを遥かに上回っていたのだ。
「オレの分析力を見誤っていたらしいな。直に戦った貴様の強さを、オレが忘れるはずがなかろう」
そして茂さんは小銃を振り上げ、銃床の一撃で俺を弾き飛ばす。
「ぐっ!」
「貴様こそ、人の心配の前に己の身体を気遣うことだな」
「――ッ!」
さらに間髪入れず石畳の上を転がる俺を狙い、茂さんは小銃を構え――発砲した。
咄嗟に真横へ跳んで躱した俺の視界を、鋭利な針とワイヤーが横切って行く。
そして、地面に当たり跳ね返った針は吸い寄せられるように、銃口の中へと引き返して行った。
……アレは、まさか……。
「貴様も不殺を掲げた戦士の一人だ。テイザーガンというものを知っているだろう」
「二十世紀に開発され、アメリカ警察や裁判官が所持していたと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ