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フルメタル・アクションヒーローズ
第199話 茶番劇の始まり
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そうだ。どのような御託を並べようが、結局は強い者が正しい。この世界はそのように造られている。そんな世界に生まれ育ったオレ達が、その理から逃れることは永遠に不可能なのだよ――!」

「――ッ!」

 強い者こそが正しく、その真理からは逃れられない。そう言い切って見せた茂さんの眼に、一瞬にして炎が宿る。

 そこから迸る猛烈な殺気に突き動かされるように、俺も赤い腕輪を翳し――互いの身を、稲妻が覆い隠してしまった。

「だから――」

 そして、稲妻が作る煙が晴れる頃。
 「救済の超機龍」の鎧を纏った俺の眼前に、金色のヒーローが現れる。

 全身を覆う黄金のスーツ。各関節や胸板を守る、真紅の装甲。「龍」と刻まれた、和の鉄兜。
 そして、右手に握られた琥珀色の小銃。

「――なッ!?」

 「救済の龍勇者」の名残など、微塵も残していないその姿に、俺は思わず息を飲む。

「――あくまで己の正義を貫くというならば、力を以て通せ。貴様の矛が『救済の超機龍』ならば、オレの矛はこの『龍を統べる者(タツノオウ)』だ」

 そんな俺に畳み掛けるように、茂さんは威風堂々と構えたまま、決闘の開始を宣言するのだった。

「ついに、始まったのね……全く、二人ともせっかちなんだから……!」
「先輩、負けないで……!」

 そして、この決闘を見守る女性陣の一人が――

「このままじゃ敷居は跨がせないって、言ったのに……。男はみんなそう、女の気持ちなんで、これっぽっちも知らないで……愚者同士の、茶番だわ……こんな戦い……」

 ――拗ねるように、それでいて切なげに独りごちていたことを、俺達は知る由もなかったのだ。

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