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フルメタル・アクションヒーローズ
第192話 嫁姑戦争(物理)
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、自由に決めさせていたとも聞いている。そんなにフリーダムだったという爺ちゃんが、孤児との結婚くらいでいちいち目くじらを立てていたというのは、違う気がする。
 親父が母さんと一緒になるために実家を飛び出したのには、別の理由があったのか……?

「……今回の、私の失態は……弁明の余地すらありません。決闘の話が出た時点で、外部からの干渉を警戒すべきでした」
「ああすればよかった、こうすればよかった。そんなことを語って罪を清算できるのなら、私がここに居る意味はないのよ。私はただ、あなたの今の考えを聞きたいのよ」

 そうして俺が思考を巡らせている間も、母さんと救芽井の会話は続いていた。母さんの眼光を真正面から受け止める救芽井は、俯きながらも母さんから視線を逸らさずにいる。
 逃げてはならない、と己に言い聞かせているようだった。

「今回の主犯とされるエルナ・ラドロイバーの身柄を確保することが、今の最優先事項です。龍太君とジェリバン将軍の決闘の件は、しばらく保留になるでしょう。――私は、確かに龍太君を守れなかった。そればかりか、龍亮さんまで……」
「……」
「……でも、彼がもう一度立ち上がろうとしている今、私だけがいつまでも悔いているわけには参りません。今度こそ彼を守り抜けるよう、可能な限りの最善を尽くして――」

「――そんな言葉には、もう何の意味もないわ。あなたには、もう何の信頼もない」

 全てを断ち切る、はっきりとした一声。

 その有無を言わせぬ気迫が、救芽井の言葉を遮り……彼女の瞳を貫いて行く。恐れを隠し切れなくなった救芽井の肩が、僅かに震えた。

「今までだって、あなたは最善を尽くしてきたでしょう。それでも、あなたは何もできなかった。そして、私の息子達を――その生贄にした。他に残された事実があるのかしら?」
「……ッ!」
「ここまでのことをしておいて、よくも私をお義母様などと呼べたものね。吐き気がするわ」

 畳み掛けるように、母さんは救芽井を罵倒していく。怒りよりも――冷ややかさを前面に出して。
 どうでもいい人間を、軽くあしらうような口調だった。その言葉を受けて、とうとう救芽井は目を伏せてしまう。

「あ、あわ、あわわっ……! ひ、樋稟っ……!」
「くっ……のっ!」

 矢村も、救芽井を案じて焦りを募らせていく。俺は救芽井の側へ駆け寄ろうと身をよじるが――親父の手は未だに離れない。

「離せよ! 離せ! あんなの、あんまりだろうがッ!」
「待つんだ、龍太。母さんは、樋稟君を見放してなどいない」
「な、なんだと……!?」
「試し方を、変えようとしているだけだ。心配はいらない」

 親父は、表情を変えないまま母さんを静かに見つめている。俺が訝しみながら、その視線の先を追った時――状況
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