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フルメタル・アクションヒーローズ
第190話 「二号ヒーロー」の影
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たいという点においては、完全に価値観が甲侍郎様と一致しておりますもの。同じ考えを持つ者同士のシンパシー……のようなものを、感じたのでしょう」
「――で、そのままあいつがその『二号ヒーロー』の座をぶんどったってことか。そんなに、俺のやることが気に食わないのかよ」
「……お兄様も、甲侍郎様も。ワタクシも。あなた様に会えたから、今がある。そんなあなた様を死なせたくないから、こうしておりますの。それをどう受け止めるかは、あなた様次第になるでしょう――しかし、例えあなた様の不興を買うことになろうとも、ワタクシ達は『賭け』に敗れるまで考えを曲げるつもりはありませんわ」

 裏でコソコソされるってのは、正直、気分のいい話じゃない。だが、それが自分のためだとはっきり言われちゃあ、振り上げた拳の下ろす先がわからなくなっちまうのが普通だ。
 ――俺は、構わず振り下ろすけどな。

「そう……か。すまねぇな、いらん手間を掛けさせちまってよ。でも、やっぱ俺としちゃあ、ここでダウゥ姫を見捨てるのは思わしくないわけで」

 様子を見守る矢村達――そして、不安げに視線を彷徨わせるダスカリアンの姫君を一瞥し、俺は久水先輩の方へ向き直る。
 突き刺すような眼光に対し、刺し違える思いで更に鋭い眼差しを向ける。そして、僅かな沈黙を経て――

「重ね重ねすまないが――勝たせて貰いたい」
「お断りざます」

 ――交渉は、敢え無く決裂し。俺と茂さんの一騎打ちが決定した。

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