第189話 姫騎士の眼光
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彷徨わせている。
四郷は親友の発言を止めようと足を踏み出していたが、姉に肩を掴まれ制止されていた。伊葉さんと古我知さんの二人は「自分達にどうこう言える資格はない」と、目を伏せていた。
「――などという、もっともらしい理屈をこねたところであなた様が折れるわけがない。そうでしょう? 龍太様」
「そこまでわかっておきながら、随分な言い草だったじゃないか。俺を挑発するメリットなんて、先輩にあるのかよ」
「ええ、もちろん。大有りですわ。あなた様の反応を見れば、ダウゥ姫のことを本気で助けようとしていることが確かめられるんですもの。ワタクシや鮎子を想って下さった時と、『同じ』ように」
「……」
「でも女というのは、自分が一番愛されていないと我慢できない生き物ですの。気に入りませんのよ、ハッキリと申し上げるならば」
久水先輩はそこで言葉を切ると――再び俺を、真剣な眼差しで刺し貫く。
冷たさはない。むしろ、焼け付くように――熱い意思が、瞳の奥から滲んでいた。
「ですが、そんなことを言ったところであなた様の心は動かない。ですから、ワタクシはあなた様に相応しいやり方で、あなた様の意思を潰させて頂きますわ」
「相応しい……やり方?」
そして、彼女は告げる。俺が、この弱い心から生まれた決断を押し通すための試練を。
「――今のあなた様に、狂気を持った上で鮎子を守れるだけの力が残されていることを証明してくださいまし。お兄様ともう一度闘い、勝つことで」
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