第186話 良いも悪いもロリコン次第
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だが……しかし」
「民の無念を僅かでも晴らすためだ。それに、姫様を残して果てるつもりはない」
「『銅殻勇鎧』をあなたに渡したのが陸軍の部隊だったのなら、彼女が絡んでいたことも考えられるわ。……あなたのデータは、ほぼ筒抜けだと思った方がいいわよ」
「……構わんさ。データなどという、机上の空論ごときに簡単に負けるつもりはない」
――と、俺が憤る一方で、将軍はラドロイバーとの対決を決意していた。もう俺との決闘など、とうに忘れてしまったかのように。
「イチレンジ殿。決着こそ付けられなかったが……貴殿という武士と戦えたことを誇りに思う。これからは、私達よりも救うべき人々のために――その力を尽くして欲しい」
「……そう、だよ。もういいよ……いんだよ、ジャッ――イチ、レンジ」
既に本人の中では「終わったこと」という扱いなのか――こちらに向き直る将軍の顔は、やけに穏やかだ。とても、これからもう一度戦う相手を見る目とは思えない。
その将軍の傍で、敵意を感じさせない表情を見せるダウゥ姫も、いつしか俺をジャップと呼ばなくなっていた。上目遣いでこちらを見つめるその姿は、戦いを止めることを哀願しているようにも伺える。
――そんなに、俺が哀れか! そんなに、戦おうとする俺が見苦しいのか! だけどな、それでも俺はッ……!
「どうしても、もう一度決闘をやり直したい――きちんと強さを証明して、ダスカリアンの崩壊を阻止したい。それが、あなたの意思なのね?」
その時。
無様に決闘を続行しようとしていた俺に、鮎美先生はゆっくりとした口調で問い掛ける。一つ一つの文言を、確実に伝えようとするかのように。
俺はその問いの意味を考えるために数秒の時間を掛け――やがて、言葉通りに受け取ることに決め、深く頷いて見せた。
彼女はそんな俺に食い入るような眼差しを真っ向からぶつけて、その意思を確固たるものと認め――次に、妹の方へと視線を移す。姉の真摯な瞳を目の当たりにして、四郷の表情もより引き締まったものになった。
「鮎子。あなた、龍太君のこと――好き?」
「……ッ! ……す、好き。それが何?」
「龍太君のためなら、何でも出来る?」
「……出来る。先輩のためなら、命だって上げられる。ボクの全部、先輩に捧げられる」
「本気ね?」
「本気よ」
ほのかに頬を赤らめる妹と、その意思を深く問い詰める姉。そんな姉妹のとんでもないやり取りに、救芽井と矢村は揃って顔を赤くして眉を吊り上げ、伊葉さんと古我知さんは何事かと顔を見合わせ、久水先輩は深くため息をつき、将軍はあわあわと真っ赤な顔で視線を泳がせるダウゥ姫の隣で、静かに成り行きを見守っていた。
俺が好きとかどうとか、それが決闘の話にどう繋がるというのだろうか。ていうか、
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