第179話 龍虎相打つ
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、ひっくり返してみせた。
巴投げをお見舞いされた将軍は宙に己の巨体を投げ出され、やがて轟音と共に地面へと墜落する。舞い上がる土埃と砂利が、作戦が成功したことを告げていた。
「やったぁああ!」
「いよっしゃあぁい! 行ける、行けるで龍太ッ!」
俺の優勢ぶりに救芽井と矢村が歓声を上げる――が、当の俺はそれどころではなかった。
――今の肩を掴んでからのヘッドバット。これまでにはない、将軍からの本格的な攻撃だった。
今まで様子見だった彼が、ついに本気で動き出した、ということなのかも知れない。膝の白刃取りが間に合わなかったら、切り傷では済まなかっただろう。
それに、向こうも段々と俺の攻撃のリズムを掴み始めてるみたいだ。これ以上手の内を読まれる前に勝負を付けないと、決着がつく前にこっちのスーツがバッテリー切れになっちまう。
「銅殻勇鎧」とやらのエネルギーが持続する時間がどの程度かは知らないが、俺のように激しく動き回っていない以上、向こうが先にバテてくれる線は期待できない。リミットは、俺のバッテリーが切れるまで、か。
俺は弾かれるように飛び起きると、将軍が飛ばされた方向へ視線を向ける。そして、ぐるりと移り変わる景色に銅色の甲冑が現れた時――
「ならばこれはどうだ!?」
――鉄腕に搭載された漆黒の銃身が、火を噴いた。
「うぉっ……!?」
俺は思わず腕で顔を覆い、緊急防御の体勢に突入。俺の全身はもちろん、その周囲にも鉛玉が浴びせられることとなった。
篭手に内蔵された小型のガトリング――か。ガチンコの戦闘用に載せられてる武器があのトサカだけ、なんてことはないだろうとは思ってたが、まさかあんなモンを持ち出して来やがるとは……!
それなりに距離が離れていたから、まともに喰らっても激痛で済んだが――あんな連射を至近距離で貰ったら、三年前みたいな銃創じゃ済まないぜ。
「な、なんなんアレッ! 鉄砲なんてずるいやろッ!」
「いや、この決闘で武器の使用は禁止されてないんだ。将軍は今まで使おうとしてなかっただけだし、龍太君は持ってても邪魔にしかならないらしいから、これまでは肉弾戦になってたけど……」
憤慨する矢村を宥めている古我知さんも、苦虫を噛み潰すような表情を浮かべている。飛び道具を持たない俺の不利を憂いているのだろう。
確かに、丸腰同然の俺に銃器は天敵そのもの。まともにやり合えば勝ち目はないだろう。
――だが、そんなことで勝負を諦めるつもりはないぜ、俺は。
「……ンンッ!」
視界に映す対象を「ガトリングそのもの」から「ガトリングを持つ将軍」へ切り替え、俺は彼の周辺を回るように駆け出す。その後ろでは、砂利だらけの地面が立て続けに銃撃を受け、小さく土埃を上げて
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