第179話 龍虎相打つ
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
きを見舞う。胸部の急所の一つだ。
俺の呼吸と雄叫びが、廃工場に轟いていく。
「ぐっ……ぬ!」
「ワ、ワーリッ!?」
パワーに差はあれど、やはり急所を突かれてはダメージは避けられないようだ。追い込みの一発を受けた将軍は数歩後ろへ下がり、同時にダウゥ姫から悲鳴が上がる。
「――ぬぅおぉあッ!」
「く、うっ!」
その声を聞いて、このままではいかん、と奮起したのだろうか。将軍の巨体が背中から突き飛ばされたかのように突っ込んできた。
予想よりあまりにも速い、急所攻撃からの回復。その予期しない動きに反応が遅れた俺は、回避は間に合わないと判断して腕を十字に構えた防御体勢に入る。
刹那、まともに受けてはならないはずの将軍のストレートが、俺の両腕に衝突した。さっきの薙ぎ払いとは比にならないパワーが、予測を超えるスピードでのしかかる。
当然、凄まじい勢いで俺は地面をえぐりながら後退させられる――のだが、今回はそれで終わるような生易しい攻撃ではない。
パンチを防御された反動を受けてもなお、将軍はスピードをほとんど殺さず、そのまま突き進んでくる。
一方、将軍の剛拳を真っ向から受けてしまった俺の両腕は、痺れという形で悲鳴を上げていた。その想定外の痛手に仮面の奥で顔をしかめていた俺は、反応が間に合わず――追撃として伸びていた巨大な両手に、己の両肩を掴まれていた。
「うぐっ!?」
「素晴らしい攻撃だったが、ここまでだ!」
肩に掛かる重さは尋常ではなく、身じろぎすらままならない。
そんな俺に打開策を練る暇も与えまいと、将軍の頭が天井へ向けて振り上げられる。その姿は、さながら獲物を喰らわんと唸る「虎」のようだ。
これは――ただのヘッドバットではない。兜の頂に取り付けられた、トサカ状の斧による斬撃だ。直撃したら、マスクどころか……!
「――トワァアッ!」
俺は動かせない両腕に代わり、両足を振り上げて空を切り裂く将軍の斧を挟み込む。両方から膝蹴りを当てられた刃の先端が、マスクを突き破りバイザーの中へ侵入する――が、そこから先へ進み出ることはなかった。
膝で真剣白刃取りを間一髪成功させた俺は、ヘッドバットに意識を向けていた将軍の不意を突き、掌側にある手首の急所「寸脈」に手刀を当て、拘束から解放させる。
そして、ここまで真っすぐ突き進んできた将軍の体勢を利用し、彼の両腕を引きながら――銅色の腹の下へ滑り込んだ。
「チャアァアアッ!」
「ぬぐあっ!?」
闘牛すら跳ね飛ばすであろう、巨大な鋼鉄の弾丸。そう呼ぶに相応しい攻勢を見せた将軍に対抗するには、やはりこれしかあるまい。
俺はつんのめって覆いかぶさって来る将軍の身体を、将軍自身の勢いと「救済の超機龍」の脚力を以って
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ