第177話 豪雨と異変の中で
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頑張って! 龍太君!」
「……健闘を、祈る」
次いで、大人の男三人衆からも応援の言葉が送られて来る。この期に及んで洒落にならない冗談を飛ばすのも、俺を信頼してのこと――だと、都合よく解釈しておくとしよう。
一歩踏み出すごとに、眼前にそびえ立つブロンズの巨人が大きくなっていく。その威圧感を前に、俺は突風を浴びているような錯覚に陥ってしまった。
あまりのプレッシャーで、あるはずのない圧力まで感じてしまっているのだろう。しかし、そこで立ち止まるわけにも行かない。
俺は唇を噛み締め、ジェリバン将軍の元へと歩き続けていく。将軍も決闘を目前にして、ようやく組んでいた両腕を解き、真っ向からこちらへ進み出た。
そして、決闘を行う俺達二人が僅か十メートル程度の距離を置いて、ようやく立ち止まった時。
ふと、俺はこの場に違和感を覚えた。
辺りを見渡すと――この廃墟の中で積み上げられていたはずの大量の鉄骨が、跡形もなく無くなっている。そのせいか、この周辺はいつになく広々とした場所となっていた。
ジェリバン将軍や他のみんなが、決闘の邪魔にならないように、外に放り出したのだろうか? いや、この廃墟に入る前にはそれらしい鉄骨の山はなかった。
それにさっきから聞こえて来る、この錆びた鉄が軋む音。どこから響いているのか、耳を澄まして辿ってみたら……あろうことか、天井に行き着いてしまったのだ。
確かに今日は天気が思わしくないが、まだ今のところは雨なんて降っていない。それによる音ではないのだろう。
だったら、あのギシギシという嫌な音は一体なんだ……?
「どうした? まだ戦う覚悟が決まってはいなかったのかな?」
「いや……なんでもない」
そんな俺の思考を遮断するように、将軍の声が響く。
……そうだ、何を余計なことまで考えてるんだ。今は、目の前の将軍に集中するべきだろうに。
俺は意識を切り替え、兜に素顔を隠した将軍と視線を交わす。その直後、俺の違和感を掻き消すように別の音が一斉に響き始めた。
どうやら、ようやく本格的に降り始めたらしい。雨が天井に激しく立て続けに当たる音で、さっきまでの不審な音は掻き消されてしまった。
多少なりとも後ろ髪を引かれる思いはあったが……まぁ、いい。おかげで決闘に集中できる。
「君とは、他人のようには思えない……言葉にはできない何かを感じていた。しかし、こうして戦わねばならなくなった以上、容赦はできん」
「それでいい。俺も、心置きなくぶつかっていける。――着鎧甲冑ッ!」
決闘開始、一分前。
その時を迎え、俺は右の腕輪に威勢のいい声で音声を入力する。
次の瞬間、俺の全身に巻き付く赤い帯が「救済の超機龍」のスーツとなった。
そんな俺の
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