暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第171話 正しさがなくとも
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エレベーターがある。
 そこに向かう直前、鮎美先生は俺の方へ振り返ると、白衣を開いて黒いチューブトップを露出させた。
 黒い布に最低限の範囲で包まれた、白く豊かな胸がその勢いで上下に揺れる。さらに彼女は挑発的な笑みを浮かべると、男を誘うように、青いミニスカートに包まれた腰を淫らにくねらせた。
 俺はその瞬間を網膜に刻み込んでから、早急に扉を閉じるように白衣を元に戻す。これ以上は古我知さんと茂さんに申し訳が立たんからな。
 その際に彼女の口から漏れた嬌声を聞き流し、俺は肩を掴んで無理矢理進む方向を修正した。

 そんな俺の対応に「釣れないわねぇ」とぼやきながら、鮎美先生はようやくエレベーターの中へ進んでいった。その姿を追うように、俺もついていく。
 俺達が乗ったことを判断したコンピューターは、ボタンで操作するまでもなく動きはじめる。向かう先は、壁にある部室の隠し扉だ。

「ふふ、残念。階段で上がるんだったら、お姉さんのセクシーなパンティーが見えたかも知れないのにねぇ」
「そんなモンに興味はない。見えるか見えないか、そのギリギリの絶対領域にこそ価値がある。見えないからこそ、人は想いを膨らませることが出来るんだ」
「へぇ〜……勉強になるわ」
「いや、あんたはすんなよ」

 そんなたわいのない雑談を交える俺達を、エレベーターは地上まで導いていく。やがて白い部室の壁はエレベーターの自動ドアと化し、真っ二つに開かれた。
 着鎧甲冑部のメンバーは見慣れた光景ゆえに大した反応は示さなかったが、大人二人は俺達が壁から出てきたことに目を丸くしていた。

「は、はわわっ! ああ、鮎美さんっ!」
「久しぶりね、剣一君。ちょっと焼けたかしら? ふふ、カッコイイわよ」
「ああ、ありがとうございますっ!」

 ――若い方が顔を真っ赤にしてあたふたしてる事実は、触れないでおこう。本人の名誉のためにも。

「あ、お帰り龍太君」
「おう。……矢村の奴、まだ寝てるのか」
「龍太様、随分と遅れましたわね? 鮎美先生と何を話されて――ま、まさか先生からセクハラを受けてッ!?」
「そんなわけな――」
「ふふ、むしろ私がされちゃった」
「――うおおいッ!?」

 だが、鮎美先生にはそういう心遣いってものがないらしい。彼女は一瞬にして、俺の社会的生命をレッドゾーンに叩き込むのだった。

「ななな、何ですってぇえええ!? 鮎美先生、どのようなプレイをされたのか説明してくださいましッ!」
「どこに説明求めてんだー!」

 久水先輩はおかしなベクトルで事情聴取を敢行し。

「凄かったわよぉ……。ケモノのように後ろから抱え込んで……激しかったわぁ。もう無理って泣いても聞いてくれなくて、そのまま何度も何度も……」
「捏造すんなー!」


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