第171話 正しさがなくとも
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
エレベーターがある。
そこに向かう直前、鮎美先生は俺の方へ振り返ると、白衣を開いて黒いチューブトップを露出させた。
黒い布に最低限の範囲で包まれた、白く豊かな胸がその勢いで上下に揺れる。さらに彼女は挑発的な笑みを浮かべると、男を誘うように、青いミニスカートに包まれた腰を淫らにくねらせた。
俺はその瞬間を網膜に刻み込んでから、早急に扉を閉じるように白衣を元に戻す。これ以上は古我知さんと茂さんに申し訳が立たんからな。
その際に彼女の口から漏れた嬌声を聞き流し、俺は肩を掴んで無理矢理進む方向を修正した。
そんな俺の対応に「釣れないわねぇ」とぼやきながら、鮎美先生はようやくエレベーターの中へ進んでいった。その姿を追うように、俺もついていく。
俺達が乗ったことを判断したコンピューターは、ボタンで操作するまでもなく動きはじめる。向かう先は、壁にある部室の隠し扉だ。
「ふふ、残念。階段で上がるんだったら、お姉さんのセクシーなパンティーが見えたかも知れないのにねぇ」
「そんなモンに興味はない。見えるか見えないか、そのギリギリの絶対領域にこそ価値がある。見えないからこそ、人は想いを膨らませることが出来るんだ」
「へぇ〜……勉強になるわ」
「いや、あんたはすんなよ」
そんなたわいのない雑談を交える俺達を、エレベーターは地上まで導いていく。やがて白い部室の壁はエレベーターの自動ドアと化し、真っ二つに開かれた。
着鎧甲冑部のメンバーは見慣れた光景ゆえに大した反応は示さなかったが、大人二人は俺達が壁から出てきたことに目を丸くしていた。
「は、はわわっ! ああ、鮎美さんっ!」
「久しぶりね、剣一君。ちょっと焼けたかしら? ふふ、カッコイイわよ」
「ああ、ありがとうございますっ!」
――若い方が顔を真っ赤にしてあたふたしてる事実は、触れないでおこう。本人の名誉のためにも。
「あ、お帰り龍太君」
「おう。……矢村の奴、まだ寝てるのか」
「龍太様、随分と遅れましたわね? 鮎美先生と何を話されて――ま、まさか先生からセクハラを受けてッ!?」
「そんなわけな――」
「ふふ、むしろ私がされちゃった」
「――うおおいッ!?」
だが、鮎美先生にはそういう心遣いってものがないらしい。彼女は一瞬にして、俺の社会的生命をレッドゾーンに叩き込むのだった。
「ななな、何ですってぇえええ!? 鮎美先生、どのようなプレイをされたのか説明してくださいましッ!」
「どこに説明求めてんだー!」
久水先輩はおかしなベクトルで事情聴取を敢行し。
「凄かったわよぉ……。ケモノのように後ろから抱え込んで……激しかったわぁ。もう無理って泣いても聞いてくれなくて、そのまま何度も何度も……」
「捏造すんなー!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ