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フルメタル・アクションヒーローズ
第169話 嘘だと言ってよ誰か
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太のためなら鬼嫁にだってなれるオンナやからなぁ」
「何をさっきからノロケやがってっ……! テンニーンだって凄くカッコイイんだぞ! オレをいつも大事にしてくれて、どんな時だって駆け付けてくれて……えへへ」
「龍太やって! アタシが襲われた時なんか、大怪我してでも助けてくれて、手まで握ってくれて……そ、その上、ちゅーまで……にへへ」

 一方その頃、矢村とダウゥ姫はさすがに叫び疲れたのか、お互い息を荒げて睨み合っていた。
 ……かと思えば、突然二人とも柔らかな表情を浮かべ、蕩けきった笑顔で何かを呟き始めている。

「――って、うるせぇうるせぇうるせぇ! オレはジャップと馴れ合う気はねぇっ!」
「ムッ! そんなん、こっちから願い下げやっ!」
「フン!」
「ふん!」

 そこで、とうとう和解したのか――と思いきや、すぐに両方とも鋭い面持ちに変貌し、やがては互いにそっぽを向いて鼻を鳴らしていた。……女の子って、やっぱ不思議だ。

「とにかく! オレ達はこれ以上、お前達ジャップの情けを受けるつもりはねぇ! この決闘、ワーリが勝つぜっ!」
「――ゴホン。つまりは、そういうことだ。決闘は一週間後の正午、廃工場にて行う。あそこならば、衆目を浴びることもない」

 矢村から飛びのくように引き下がり、ダウゥ姫はジェリバン将軍の傍にピタリと引っ付く。そんな彼女を匿うように立ち上がり、将軍はようやく俺の方へ視線を向けた。

「それで、構わないな? イチレンジ殿」
「……上等だ。救える命は救うのが俺の仕事だからな。あんたのやり方を捩じ伏せるために勝つしかないというなら、こっちも全力で行かせて貰う」

 こちらへ向けられる、歴戦に裏付けられた鋭利な眼光。その威圧を真っ向から見上げ、俺は啖呵を切る。
 ――確かに、すげぇ気迫だ。古我知さんが負けた、という話もわかる気がする。
 だが、たかが視線一つで屈するような俺じゃない。ダウゥ姫の、何があっても故郷に居たいという想いも捨てるわけには行かないが――全ては、命あっての物種だ。

 それを通すためにも、俺はまず……あんたに勝つ。今は、それだけだ。

 だから。

「つ、つーわけだからさ。も、もういいじゃん。いい加減コレ解いてよ?」
「私達が退室した後に解いて貰えばいいだろう。息子の面影を持つ上に瀧上凱樹を討ち取った勇者となれば、最大限の敬意を以って接するべきだと心得ていたが……さすがに姫様に手を出されてはこうせざるを得ん。我が国で同じことが起これば、極刑も有り得たのだからな」

 ……という俺の願いは、悉く打ち砕かれてしまった。縛り上げた張本人に。

「まぁ、仕方ないわよ……一国のお姫様にそんなことしちゃったら……ね?」
「ホンット、龍太は相変わらずなんやから……困ったもん
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