第169話 嘘だと言ってよ誰か
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ダモノジャップに、ワーリが負けるわけねーだろっ!」
伊葉さんと古我知さんは、揃っていたたまれない表情のまま目を伏せている。絶対に許されない領域に踏み込み、それを強く自覚している――かのような面持ちだ。
確かに、むやみやたらに着鎧甲冑の「戦闘力」が明るみに出れば、「兵器じゃなくてもそんなに強いんなら兵器にしちゃえば最強じゃね?」という考えが出て来たって不思議じゃない。そういった事態を回避するための嘘を破ってしまった以上、ここに彼らを連れて来るしかなかったのだろう。
「ケダモノですって……!? 聞き捨てなりませんわね。龍太様はただ身に余る程の燃えたぎる獣欲を、ただワタクシの柔肌にぶつけているに過ぎませんわ! それはもう、ケモノのように何度も何度も熱く激しく……むぐ!?」
「捏造はそこまでやッ! ……とにかく、これ以上龍太をバカにしよったらアタシが許さんでっ! さっきから黙って聞いとったら、助けられたクセして言いたい放題やんけっ!」
「……右に同じ。気持ちはわかるけど、許容はできない……」
そんな俺達日本人全て――とりわけ、俺個人を執拗に罵倒する少年、もといダスカリアン王女のダウゥ・アリー・アル=ダスカリアニィ。
彼女はここに来るや否や、親代わりだというジェリバン将軍に俺のことをものすごく悪い様に言い付けてしまったのだ。今ではそんな彼女に、着鎧甲冑の面々が突っ掛かる事態に発展している。……約一名、ベクトルがおかしいOGも居るのだが。
他の部員が揃って制服姿だというのに、一人だけスリットがやけに深い黒のチャイナドレスって、どういうことだ。しかも、腋までよく見えるノースリーブというおまけ付き。
おかげで白くしなやかで、程よく肉の付いた脚や腕が黒との対比でよりエロスに映えて――って、今はそこじゃねぇ!
「皆、ちょっと落ち着いて! ……ダウゥ姫、あなたのお気持ちも尤もです。確かに瀧上凱樹の犯した罪は、決して時間だけで解決できる重さではありません。しかし、龍太君も剣一さんも、その罪を清算するために戦っているのです。日本人全てに責任を求め、彼らの誠意を否定するような発言だけは、どうかお控え下さい」
「ふ……ふん、勝手にしろっ! いくらお前達が償おうったって、オレは認めやしないからなっ! お前達が死ぬほど頑張ったって、父上も母上も帰ってこないんだ! ……それに、テンニーン……だって……!」
「ダウゥ姫……」
そんな中でも比較的冷静な救芽井が、なんとか双方の対立を止めようと、ダウゥ姫と向かい合う。だが、そんな彼女の姿勢を目の当たりにしても、当の姫君は反感を示すばかりだった。
その際に呟かれた「テンニーン」の名に、救芽井は思わず目を伏せてしまう。
ダウゥ姫が頻繁に話題に出していた「テンニーン」。それは俺が思って
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