第168話 姫君は大変な爆弾を投下して行きました
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変を感じ取る。
「どうした? 具合でも悪くなったのか?」
「近くに、ワーリの気配がある……ワーリがいるっ!」
「ちょっ……君っ!?」
唐突に動きを止め、しばらく辺りを見渡していた彼は――やがて学校の方へ視線を固めていた。
今度は何を言い出すんだ、この子は? 松霧高校に、そのワーリさんがいると云うのだろうか?
そんな俺の疑問に答えることもなく、少年は俺の手を振り払うと、学校の敷地を隔てる塀をよじ登り始めた。しかも、止めようとした俺の予想を遥かに凌ぐ速さで。
「ちょっ、ちょっと危ないよ君っ!」
「ワーリ、ワーリぃっ!」
ものの数秒で、三メートルはある学校の塀を登りきってしまった彼は、俺の制止に耳を傾けることなく向こう側へと渡ってしまう。
それを見届ける形となっていた俺は、我に返るや否や、彼を追うように塀の隙間に足を引っ掛けた。
「……不思議な子だよな、全く」
謎ばかり撒き散らし、予想だにしないアクションを立て続けに起こす彼の背中を思い浮かべ、俺は思わず苦笑いしてしまう。
そんな彼の無事を静かに祈りつつ、俺は塀の隙間に手足を引っ掛けていった。
そして、俺が学校の敷地内にたどり着く頃。既に少年は、部室棟のとある窓から建物の中に入ろうとしていた。
……って、よく見たらアレはウチの部室の窓じゃないか!? てことは、今のあの子は久水や四郷姉妹、それに救芽井達とも鉢合わせしてるってことに――
「助けてワーリっ! オレ、このままじゃジャップのお嫁さんにされちまうーっ!」
――うぇぇえぇえぇえぇッ!?
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