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フルメタル・アクションヒーローズ
第167話 変換ミス再び
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るぅうー! 助けてワーリーッ!」
「はぁっ!? ちょ、待っ……!?」

 そして、兄貴の面白がるような笑い声が聴覚に届く瞬間。突如、少年は意味不明な叫び声を最大音量で放出しながら、あろうことかその足で逃げ出してしまった。
 何を犯されそうなのかは知らないが、あの足で無理に走らせたら悪化しないとも限らない。止めないと!

「行ってくる!」
「おーう、頑張れよ」

 俺は猛スピードで駆け出す少年を確保するべく、脳が状況を整理するより先に走り出した……のだが、少年の素早さは俺の予想を遥かに上回っていた。
 律儀に玄関で靴を履き、家の外へ飛び出す少年。僅か二秒足らずでそこまでの動きを見せた彼は、住宅街の塀の上へ飛び乗ると、一目散に逃げ出してしまった。
 人間が危険を感じると、これほどまでの力を発揮するというのだろうか。なんにせよ、塀の上なんて歩かせていたら危険なんてレベルじゃない。
 うっかり落っこちて大怪我される前に、なんとか捕まえないとっ!

「よっ、い……しょっ! 待つんだ君、そんなところで走っちゃ危ないッ!」

 俺は彼の後を追う形で塀の上へよじ登り、その狭く不安定な道を駆け抜けていく。……なぜだろう。ものすごく事態がややこしい方向に向かっている気がしてならないぞ……?

「へへ、こいつぁまた……とんでもねーことが起こる気がするなぁ」

 そして、一人自宅に取り残された兄貴は――人知れず、この先の出来事に思いを巡らせるのだった。

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