第167話 変換ミス再び
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見分けられる要素がなかなか見当たらない。……男同士で良かったぜ。これで少年が女子だったりしたら、間違いによるダメージが段違いだもんな。
「んー、多分こっちかな」
「えっ!?」
「おほぉ!」
そしてしばらくの間を置き――俺は二つのうちの一つを手に取り、すぐに飲み干してしまった。俺も随分と喉が渇いていたらしい。
だが――どうしたことか。兄貴は間抜けな声を上げ、少年は再び顔面を深紅に染めている。
間違い、だったのだろうか。――じょ、女子よりはダメージはないはずだ。た、多分。
「かっ……! か、かかっ……!」
「ん?」
「かん、せ……かんせっ……間接! かか、間接うっ!」
「……あーあー、やっちまいましたなぁ、弟よ」
すると、シモフリトマトの如く真っ赤になった少年はいきなり立ち上がり、何かを叫び始めた。
かんせつ? カンセツ……関節だと? まさか、膝を擦りむいただけだと思っていたのに……打ち所が悪くて、膝関節を痛めたのか!?
俺は「あちゃー」と言わんばかりに顔を片手で覆う兄貴を一瞥すると、少年の傍に寄り膝を確認しようとする――のだが、慌てて飛びのかれてしまった。
「ななっ、なんだっ! こここ、今度は何をする気なんだっ!」
「何って……膝を痛めたなら様子を見ないと。交番に連れていくつもりだったけど、関節痛があるなら診療所が先だな」
「や、やめろっ! ちち、近寄るなっ! まさかお前、つ、次はオレの身体をっ……!」
「心配すんなよ、優しくするから」
「……ッ!?」
きっと、膝の痛みに耐え兼ねて周りを警戒しているのだろう。下手に触られたらもっと痛い思いをしてしまう、と不安になる気持ちは尤もだ。もう一度抱き上げられることに敏感になるのもわかる。
しかし、そうだと言って放置するわけにも行くまい。膝を痛めたとあっては、無理に歩かせるなど言語道断。
俺は思いつく限りで穏やかな言葉を投げ掛け、彼の緊張を解そうと尽力――したつもりだったのだが、どうやら逆効果だったらしい。
俺の言葉を受け、なぜか血管が破裂しそうな次元にまで顔を紅潮させていた彼は、一瞬クラッとなりながらも必死に持ち直すと、怯えるような視線をこちらに向けていた。自分の身体を懸命に抱きしめながら。
――その姿は、まるで暴漢に襲われるいたいけな少女のようだ。美少女と間違われ兼ねない程の幼い顔立ちや、目元に浮かぶ雫を目の当たりにしたせいで、自分が悪いことをしているような錯覚に陥ってしまう。
兄貴はそんな俺を呆れ返ったような視線で見つめながら、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。
「な、なんだよ?」
「んんー? いやぁ、お前ホントに『そういうところ』は変わらねぇなー、ってさ。ハハハ」
「あわ、あわわわ……! お、犯され
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