第2章 真紅と黄金の激突
第166話 とあるオレっ娘の暴走注意報
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、何故かそれどころではないらしい。激しく息を荒げ、俺を信じられないものを見るような眼で睨みながら、自分の身体を抱きしめるように胸元を隠していた。
まるで、大事なところを隠す女の子みたいな仕種だな……。さっきの叫び声も、やけに甲高かったし。もしかして、これが噂の「男の娘」?
「な、な、な、何しやがるんだテメェエ! どこ触ってんだッ! 変態! エッチ! スケベッ!」
「あーびっくりした……どうしたんだよ、急に」
「どうしたもこうしたもあるかッ! お、お前、よくもオレにッ……いっ!」
「おっ……と。全く。痛いくせにいきなり動くからだぞ。絆創膏貼ってやるから、俺にちゃんと掴まっとけ」
そんな俺の疑問などお構いなしに、少年は相変わらず意味不明な罵声を浴びせて来る。なんだよ変態って。俺がいつそんなことをした? つくづく不思議な子だなぁ……。
ともあれ、無理に動いたせいでさらに痛い思いをしている彼を、このままにしておくわけには行かない。俺は再びよろけた彼を受け止めると、お姫様抱っこの要領で持ち上げた。
ここからなら、商店街前の交番より俺ん家の方が近い。そこで絆創膏を貼ってから、交番に連れていくとしよう。
「きゃんっ! や、やめろっ、降ろせぇっ!」
「暴れるんじゃないの。さ、ちゃんと親元まで帰してやるから。静かに待ってなさい」
「う、うるせぇっ。何なんだお前、さっきからベタベタベタベタ! そ、それでテンニーンの真似してるつもりかよッ!」
「……うーん、そのテンニーンって人のことは全然知らねぇから、何とも言えないけどさ……その人もこういうことをする人なんだったら、きっと今頃は君を心配してるはずだよ」
「……テンニーンが、心配……?」
「ああ。だからさっさと怪我なんて治して、元気な姿を見せてやろうぜ」
彼の言うテンニーンという人物については何も知らないが、少年の口ぶりから察するに、こうやって彼の世話を焼いてくれる良き友人のようだ。そんな良い子を心配させないためにも、この妙なやんちゃ坊主の怪我を早く何とかしなくちゃな。
……しかしまぁ、変わった名前だよなテンニーンって。外国人、だよな? この子もそうなんだろうか?
「……」
一方、少年は何かを思案するような表情になり、しばらく無言になっていた。
それにしても、何かが起きる――って予感そのものは的中したみたいだが、こんな形になるなんて思っても見なかったぜ。
「そっか……今も、テンニーンが見守ってくれてるのかも……」
「そうそう。だから、な?」
「ふ、ふん! しょうがねぇ、そこまで言うなら一時休戦ってことで手を打ってやらぁ。だけど、勘違いすんじゃねーぞ! あくまでちょっとだけだからな! 怪我さえ治りゃ、お前なんてすぐにブッ飛ばせるってことを忘れるな
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