第2章 真紅と黄金の激突
第166話 とあるオレっ娘の暴走注意報
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どう見たって小学生くらいなのに」
「本当なんだっつーのー!」
傷を洗い流し、蛇口を止めた俺に向かい、少年は相変わらず無茶苦茶なことを叫んでいる。
俺の胸元に届くか届かないか――というレベルの身長なのに、俺と二つしか違わない。そんなおかしな話があるものか。この子とほぼ同じ体格の二十五歳も居るには居るが、彼女は例外中の例外だろう。
「はいはい、わかったわかった。それで、お父さんとお母さんはどうしたんだ? 迷子なのか?」
「なッ……なんだとッ……!? 白々しいッ! よくもオレの前でそんなことが言えたもんだなッ!」
「え……?」
「もう許さねぇ! お前達ジャップだけは、絶対に許――いつっ!」
「あ、おいっ!」
少年の不可解な言動は続く。今度はご両親について問い掛けた俺を、親の敵を見るような眼差しで睨みつけ、さらに敵意を剥き出しにしたのだ。
だが、何を言っても膝が痛いのはごまかしようがないらしく、凄んでる最中に痛みで体勢を崩してしまった。俺はそのふらつき方から倒れる向きを予測し、小さな背中を咄嗟に抱き留める。
「ち、ちきしょうっ……! い、いっそ殺せぇえ……! 敵の情けなんていらねぇよっ……!」
「バカなことを言うんじゃない。何が何だかよくわからないが、とにかく今は怪我を治すことを考えなさい。子供は元気が一番なんだから」
「だから子供扱いすんじゃねぇっ……て……」
その時。先程まで何かと喚き散らしてばかりだった少年が、珍しく大人しくなった。さすがに疲れたのだろうか?
……しかし、その沈黙はかなり長く続いている。最初に彼が転んだ時以上だ。
どうしたんだ……? どこか、具合でも悪くなったのか……?
「おい、どうした? どこか、痛むのか?」
「あ……あ、ああっ……!」
一抹の不安を覚えた俺は、心配げに彼の横顔を覗き込む。
その少年の顔は――さっきとは比べものにならないくらい、深紅に染まっていた。褐色に焼けた肌が、今は熱を帯びた鉄板のように赤い。
今にも泣き出しそうな表情や、パクパクと幾度となく開閉を繰り返す口を見る限り、どうやら恥じらいによる紅潮のようだが――このテンパりようは、尋常じゃないな。一体、彼に何が起きたのだろうか。
……それにしても、この子の胸……なんだか、意外に柔らかいな。見かけは細身なのに。もしかして、こう見えて実はぽっちゃり系だったり?
「い、いやぁああぁああぁあああっ!」
「うわっ!?」
そうして、抱き留めた時に触れた両胸の感触に、予想外の柔らかさを見出だした瞬間。聴覚を破壊するかの如く、少年の絶叫が轟くのだった。
少年は我に返ると俺を蹴飛ばし、一気にその場を飛びのいてしまう。痛いはずなのに、無茶しやがって……。
しかし当の本人は
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