第165話 無断出動と開幕タックル
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並みをこの目に焼き付けていた。
「あだっ!?」
「なーに授業中によそ見してんだバカヤロウ。黄昏れてる暇があったらこの公式解いてみろ」
……というように、授業中にブッ叩かれることもなくなるのだろう。嬉しいような寂しいような――複雑だ。
そして、放課後。
部活がある生徒や、真っ直ぐ家に帰る生徒、友達と喋りながら一緒に近場のゲーセンへ向かう生徒――クラス全体が、各々の時間を過ごすために散り散りになっていく。
その中で俺は、救芽井や矢村と共に部室へ向かう……予定だったのだが。
「パトロールに行くの? 今から?」
「ああ。お前らは先に部室に行っててくれ。今頃、久水先輩も部室に居座って四郷や鮎美先生と喋ってる頃だと思うし」
「あのスーパーボイン、卒業しても当たり前のように部室でくつろぎよるからなぁ……。しかも、相変わらず大事な仕事をノーパソ使って片手間で済ましながら……。それにしても、どしたんや? いつもやったら部室で腕輪に充電して、一息ついてからの出動やのに」
「……んー、何となくだけどさ。今すぐ行かなくちゃ、って気になったんだ」
廊下に出たところで、いきなり「すぐにパトロールに行きたい」と言い出す俺に、何事かと二人は目を丸くしていた。
――特に、これといった理由はない。いわゆる、第六感。
今まで俺が何度も無断で出動し、後になって始末書に泣かされるハメになってきたのは、この背中を突き動かすような直感が原因なのだ。
具体的に何故出動したいのか。それを上手く説明できない上に、グズグズしていたら万一の事態にも成りかねない。そうなれば、結局は理由もなしに出動することになり、帰った後はお待ちかねの超説教。予測は可能だが回避は不可能、というわけだ。
しかし、自慢ではないが――この直感が今まで外れたことは一度もない。俺の無断出動が、結果的に功を奏したケースもある。
要救助者の居場所を的確に探知する、救芽井所有の特殊コンピュータより先に、何と無くで駆け付けた俺が早く現場を発見したことまであった。それでも勝手な行動をしたことについては、後でこっぴどく叱られたわけだが。
「何と無く……って、何よソレ。むやみやたらに飛び回ったって、バッテリーを浪費しちゃうだけよ? 電気だってタダじゃないんだし……資格を取ってやる気満々になってくれるのは有り難いけど、いざって時にバッテリー切れになったら元も子もないじゃない」
「やけど、龍太がこう言っていきなり出動した時って、大抵何かが起きるんよなぁ……せっかくプロにもなれたんやし、少しくらい好きにさせたってもええんやない?」
「逆よ、賀織。プロになったからこそ、他の資格者達との連携を乱さないよう、規律に従った無理のない判断を常に――って、龍太君ッ!? どこに行くのよッ!
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