第163話 周りの女は鬼ばかり
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ものとは言え、やっぱタイミング悪いなー西条さんは」
「むっ、むうー! イッチーさんの意地悪! そんなことばっかり言うんだったら、イッチーさんにはショートケーキあげませんっ!」
「ははは、どの道すぐに帰るから頂いてる時間もねぇよ。次に来た時に自腹で買うわ」
「えっ……?」
その時、西条さんはショートケーキを二つ乗せた皿を落としそうになり、ふらふらとよろけていた。危ないな、おい。
「もっ……もう帰っちゃうんですかぁ!? 昨日の今日ですよぉ!?」
「ああ。元々は今日帰る予定だったし、そろそろ学校も始まっちゃうしな。大した怪我とかもしてるわけじゃねーし」
「そうですかぁ〜……。はぁ……せっかく可愛いメイド服とか買ってみたのに……」
「メイド服……だと……?」
「はぇ? あ、あぁいえそれは別に! イッチーさんに見せたいな〜とかそういうわけではなく! ご主人様〜ってご奉仕とかしてみたいな〜ってわけじゃなく! ただ私が趣味で買ってるだけなので悪しからず!」
西条さんのメイド服か……。ぶっちゃけると見てみたい気持ちはあるが、そんな時間はないし俺のためでもないらしいからなぁ。
――しかし、彼女にそんな趣味があったとは驚きだ。ここ一年間、彼女達の下で訓練してきた分だけの付き合いはあるつもりでいたのだが……メイド服集めが趣味だなんて初耳だぞ。
「わかった、わかったってば。そこまでムキになるこたぁねーだろ。そりゃあ、見てみたいっちゃ見てみたいけどさ」
「ほにゃあ!?」
俺は慌てて否定する彼女の姿に若干の寂しさを覚えつつ、宥めるように言葉を掛け――たのだが、当の彼女は何を血迷ったのか、顔を真っ赤にしてずっこけてしまった。
……ショートケーキは犠牲になったのだ……西条さんの犠牲にな……。
しかも、今まで俺と西条さんのやり取りを静観していた着鎧甲冑部の面々が、いきなり殺気立ったような表情に変わってしまった。
いや、確かに食べ物を粗末にしちまってるのは由々しき事態ではあるんだが……頼むから、これ以上俺の精神を締め付けるのは勘弁してくれ……。
「きっ……危険です! 今の発言は危険過ぎます! そうやって並み居る女の子達を手篭めにしてきたんですねっ! やっぱりイッチーさんは女の敵ですっ!」
「な、なんだよそりゃあ。とにかく顔拭けよ、顔中ケーキまみれだぞ」
「結構です! これ以上ドキをムネムネさせられたら堪ったもんじゃないですよ! ひりりん様! かおりんさん! こずっちさん! あゆゆんさん! この人にはホントに気をつけて下さいねっ!」
白いケーキを顔全体に浴びてしまった西条さん。
その顔を俺に拭かせつつ、度々自分の口元に付いてる部分をペロッと舐め取っているこの姿では、どんなに凄んでもイマイチ迫力に欠けてし
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