第163話 周りの女は鬼ばかり
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――あの女性、か。着鎧甲冑について何かと口を出していたように思えるが……一体、彼女は何者なんだろうか?
気になってしょうがないと言えばしょうがない――が、俺が一人で考えていて結論を出せるわけもないか。
ここは、本格プロの彼女達に託すしかあるまい。まぁ、俺も成り立てホヤホヤとは言え一人のプロなんだけどな。
俺は彼女達に見送りの言葉を掛け、仕事に戻る二人にエールを送る。フラヴィさんは背を向けたまま親指を立て、ジュリアさんは振り返ってからにこやかに手を振ってくれた。
そのやり取りを最後に、彼女達はラウンジを後にしていく。どこまであの女性に近付けるかわからないが……ここは二人に頑張って貰うしかない。
「――はぁ、ったくよー、ただでさえ彼氏いねーってのに仕事ばっかり増えやがってよー……アタイも素敵な恋とかしてぇよぉ……」
「あら、それでしたらまずは言葉遣いから治さなくてはなりませんねぇ。せっかくこんなに立派なものをお持ちなんですから、存分に活用しないと勿体ないですよ〜」
「ちょっ、こらジュリア! どこ触ってんだ! ひっ、そ、そこは摘むなぁ……や、やめぇ……!」
「ふふっ、かわいいですよ隊長。今夜もたっぷり愉しみましょうねぇ……」
「や、めろぉお……」
……って、ちょっと待てい。会話がモロ聞こえだぞ。二人して何やってんの。ジュリアさんは何を楽しむ気でいるの。
いささか先行きが不安な、レスキューカッツェの首脳部二名。その背中を視線で追う俺は、恐らく引き攣った顔をしているのだろう。
「隊長さ〜ん! 副隊長さぁ〜ん! 美味しいショートケーキはいかがで――って、イッチーさんっ!?」
すると、フラヴィさん達が去っていくのを見計らったようなタイミングで、別の女性がラウンジに入って来る。何故か、俺を見るなり頬を桃色に染めて。
二十三歳という年齢や均整の取れたプロポーションの割には、どこと無く幼さを残している顔立ち。黒く艶やかな長髪を纏めた、腰に届く程の長さを持つポニーテール。
おっとりした物腰と愛嬌のある面持ちゆえに、日本支社内でのアイドルとして扱われている――西条夏さん。昨日の作戦で、俺の分隊に所属していた人だ。
仕事の実力に関して言えば、レスキューカッツェの正式隊員に唯一引き抜かれた日本人というだけあり、相当なものだ。俺の指示をすぐに把握して、滑り落ちた乗客達の回収に向かえる機転もある。
……まぁ、現場を離れるとマイペースな余り、こうして目当ての人とすれ違いになったりすることもあるようだが。それに、人に自分なりのあだ名を付ける子供染みた一面もあったりする。
「あれ〜? ここに隊長さん達がいらっしゃるって伺って来たんですけど―」
「フラヴィさん達なら、今さっき仕事に戻っちまったよ。見慣れた
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