第163話 周りの女は鬼ばかり
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の殆どを出動の連続で潰してた人が何言ってるの! そうやって当たり前のように毎日命削って働かれるくらいなら、丸々一年の謹慎に処しますっ!」
「……ごめんなさい。俺が悪かったです」
俺としては、ただ単に「仕事に取り組んでいる」つもりでしかなかったのだが、どうやら俺と皆との間にはかなりの意識の差があったらしい。
どんな人でも助けられるレスキューヒーローの「怪物」を目指していたはずが、まさかこんな集中放火を浴びることになってしまうとは。今までは仕事にばかり夢中になっていた俺だが、いい加減ちゃんと周りを見ないとクビにされてしまいそうだ。
実際、俺の耳元で「謹慎」をちらつかせながら怒鳴る救芽井の威勢は、鬼気迫るものがあった。
「はぁ……とにかく、殆どの乗客達は救助できたって言っても、そのためにあなたにもしものことがあったら本末転倒なんだから! これからは、きちんと引き際を弁えること! わかった?」
「は、はい」
「わかればよろしい。――でも、龍太君の活躍がとんでもないものなのは確かなのよね。私も夕べは興奮して寝付けなかったわ」
「えぇ。今回の件で一煉寺様のお力も強調されたことですし。もう、さっきのような方々がおいたをされることも少なくなるのでは?」
「そうですわね。もっとも、助けて頂いた恩を忘れて龍太様に無礼を働くような輩は、遅かれ早かれ淘汰される運命でしょうけど?」
「淘汰しとったのは紛れも無くあんたやろ……。ま、あんたがやらんくてもアタシがやっとったかも知れんけどな!」
すると、平身低頭の姿勢による謝罪が効いたのか、俺への批難は徐々になりを潜め――たのだが、不穏な空気であること自体に変わりはなかった。
矢村の物騒な発言に周りの皆が笑う中、このノリについていけずにいた俺は、彼女達を取り巻くドス黒いオーラに飲まれ、批判が終わったはずなのに更に萎縮してしまっている。
――やっぱり、女子って怖いな。
「……女にかまけてるからそうなる。自業自得……」
加えて、周りに混じらずに静観を決め込んでいた四郷にまで散々な言われようである。自業自得ってどういうこったい。
「まー、とりあえず旦那の活躍であの女以外は全員無事で済んだんだし、今日のところはこれくらいで勘弁しといてやるか。でも、これからはちゃんと周りを見て動くんだぞ。今度無茶しやがったら承知しねーかんな」
「さて、それでは私達は調査の方に戻りますね。何かわかったことがあったら、一煉寺様にも連絡致しますので。それでは、ごきげんよう」
「……ん、わかった。頼むぜフラヴィさん、ジュリアさん」
「おうよ」
「えぇ、お任せ下さい」
そんな俺を置き去りにするかの如く、レスキューカッツェの二人はソファーから立ち上がる。どうやら、仕事の休憩中だったらしい。
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