第162話 女性、それ即ち恐怖の権化なり
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
社長室と同様、都会の絶景を一望できるラウンジ。そこに置かれた幾つものソファーの上で、彼女達は待ってくれていた。
青空を背景にして俺の視覚に映り込む、そのシルエットを認め――俺は声を上げる。
「おーい、お待たせ!」
その瞬間、そこにいる「仲間達」が、一斉にこちらを振り向いたのがわかった。
彼女達のうちの二人が眩しい微笑みを浮かべ、頬を緩ませていることも。
「龍太君、お疲れ様!」
「やっと終わったん? 長かったなぁ」
「はは……甲侍郎さんの話が短い時なんてそうそうないだろ」
「それもそうね。お父様、話に熱が入ったら全然止まらないんだから。とりわけ、今回の件ではいよいよ『救済の超機龍』も世界的に有名になったんだし。今はどこのニュースも『レスキューカッツェ』やあなたのことで大騒ぎよ」
茶色のショートボブに、深窓の令嬢を思わせる白い柔肌。滑らかな曲線を描くボディラインと、九十センチを越えるたわわな双丘。そして僅かにあどけなさを残しつつ、凜とした面持ちを持つ美女――救芽井樋稟。
救芽井エレクトロニクスの社長令嬢……つまり、甲侍郎さんの娘なのだ。
二年前に救芽井エレクトロニクスが創設された頃から、着鎧甲冑で人々を救い続けてきたことによるヒーロー性と、その生まれながらの美貌により、アイドル的な人気を博している。
「やけど、昨日は大変やったなぁ。合格やー! ってお祝いしたかったけど、あんたは疲れてさっさと寝てまいよるし……と思ったら、夜中に叩き起こされていきなり出動やし、変な女の人は出るし」
「まーな。けど、プロになったんだからこれくらいで動じちゃいられないさ。ここまで来れたのも、お前が勉強見てくれたおかげだぜ、矢村」
「もっ……もぉおー、しょうがないやっちゃなー龍太は! そそ、そんなに褒めたって何も出んのにぃっ!」
「賀織。頬、緩みすぎっ!」
その隣からちょこんと顔を出しているのは、小麦色に焼けた健康的な肌と真っ黒なセミロング、そして口元から覗く八重歯が特徴の顔なじみ。
俺と同じ中学出身の、矢村賀織だ。中学生のような童顔からは想像もつかないが、一応は俺と同い年である。
それにしても十八歳としてはかなり小柄な部類だったり、快活な性格の割に胸が控えめだったりと、イロイロと大人っぽい救芽井とは対照的な部分も多い。
……が、俺から見れば異性としての魅力は、救芽井と遜色ないように思う。
そう感じてしまうのは、やはり一年前に彼女とファーストキ――い、いや、やめとこう。意識したら顔が見れなくなる。
「……えっち……」
「なっ、何をッ!?」
そんな俺の思考を読み取るように、痛烈な一撃をかます者がいた。
彼女達の中で唯一ニコリともせず、一瞬だけ読書を中
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ