暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第64話「足止めの戦い1」
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
…舐めないでよね!」

 そして、マドカはそう宣言する。
 そう。今マドカは一人で戦っている訳じゃない。
 楯無が、簪が、セシリアが、鈴が、シャルロットが、ラウラが、それぞれ戦っている。
 他の皆が戦っているのに、自分が今ここで倒れる訳にはいかない。
 マドカはそう思ったからこそ、負担が掛かっていても倒れる事はなかった。









「っつ……」

「如何に対暗部組織の当主とはいえ、属性を使わなければこんなものなのね」

 マドカが奮起している頃、楯無は傷ついた腕を抑えながら膝を付いていた。

「(……ただ“更識家当主”として在り続けたのが、裏目に出たわね…。あの時の簪ちゃんとは全く違う……。これが、“水”の力…!)」

 楯無の攻撃は、悉く躱され、その都度反撃を受けていた。
 楯無もここ数年何もしていない訳ではなかった。
 更識家当主として、ふさわしく在ろうと日々精進していたが……。
 今回ばかりは、裏目に出たのだ。“更識家当主”というスタンスを少しでも崩し、“水”を宿せるようになっていれば、今の状況にはなっていなかった。

「(でも……無駄ではない)」

 “水”は心に宿すもの。つまり、四属性として扱おうと力を磨かなくとも、扱えるようになる場合がある。そうでなくとも、楯無は簪と言う“水”を扱う存在と何度も手合わせをしている。

「(……勝手は理解している。後は、それに対応するだけ…)」

 楯無は、幾度に渡る簪との手合わせで、“水”に対応できる。
 だが、相手は簪とは違う。だから常に劣勢だった。

「(……彼女は、基本的に“受け身”の戦法。例外になるのは、反撃からの追撃時のみ。……全てが、カウンターで成り立っている。逆に言えば、そうしなければ彼女も“水”を扱いきれない)」

 “攻め”に転じた瞬間、スコールは“水”を完全には扱えなくなる。
 “受け身”だからこそ、ここまでの強さを誇っているのだと、楯無は気づく。

「(どうあっても、私は“攻め”になる。……そうでなければ、彼女は動かない)」

「(……気づかれてたのね。いえ、そうでなければ当主は務まらない……か)」

 楯無が自身が扱う“水”の特徴に気づいたと、スコールも感付く。
 尤も、気づける程でなければ今の今まで立っているはずがないのだが。

「(……思い出すのよ…!いくら簪ちゃんと動きが違っても、その根幹にあるモノは同じ……!必ず、活路はある…!)」

 構えを変え、手に携えるのはいつもの扇……ではなく、一振りの刀。
 生身用に改造したIS装備でもなく、短刀より長く、脇差より短い程度の刀だった。
 ISが生まれる以前の更識家が、代々受け継いできた小太刀。それを楯無は構えた。

「…
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ