最終章:夢を追い続けて
第64話「足止めの戦い1」
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…舐めないでよね!」
そして、マドカはそう宣言する。
そう。今マドカは一人で戦っている訳じゃない。
楯無が、簪が、セシリアが、鈴が、シャルロットが、ラウラが、それぞれ戦っている。
他の皆が戦っているのに、自分が今ここで倒れる訳にはいかない。
マドカはそう思ったからこそ、負担が掛かっていても倒れる事はなかった。
「っつ……」
「如何に対暗部組織の当主とはいえ、属性を使わなければこんなものなのね」
マドカが奮起している頃、楯無は傷ついた腕を抑えながら膝を付いていた。
「(……ただ“更識家当主”として在り続けたのが、裏目に出たわね…。あの時の簪ちゃんとは全く違う……。これが、“水”の力…!)」
楯無の攻撃は、悉く躱され、その都度反撃を受けていた。
楯無もここ数年何もしていない訳ではなかった。
更識家当主として、ふさわしく在ろうと日々精進していたが……。
今回ばかりは、裏目に出たのだ。“更識家当主”というスタンスを少しでも崩し、“水”を宿せるようになっていれば、今の状況にはなっていなかった。
「(でも……無駄ではない)」
“水”は心に宿すもの。つまり、四属性として扱おうと力を磨かなくとも、扱えるようになる場合がある。そうでなくとも、楯無は簪と言う“水”を扱う存在と何度も手合わせをしている。
「(……勝手は理解している。後は、それに対応するだけ…)」
楯無は、幾度に渡る簪との手合わせで、“水”に対応できる。
だが、相手は簪とは違う。だから常に劣勢だった。
「(……彼女は、基本的に“受け身”の戦法。例外になるのは、反撃からの追撃時のみ。……全てが、カウンターで成り立っている。逆に言えば、そうしなければ彼女も“水”を扱いきれない)」
“攻め”に転じた瞬間、スコールは“水”を完全には扱えなくなる。
“受け身”だからこそ、ここまでの強さを誇っているのだと、楯無は気づく。
「(どうあっても、私は“攻め”になる。……そうでなければ、彼女は動かない)」
「(……気づかれてたのね。いえ、そうでなければ当主は務まらない……か)」
楯無が自身が扱う“水”の特徴に気づいたと、スコールも感付く。
尤も、気づける程でなければ今の今まで立っているはずがないのだが。
「(……思い出すのよ…!いくら簪ちゃんと動きが違っても、その根幹にあるモノは同じ……!必ず、活路はある…!)」
構えを変え、手に携えるのはいつもの扇……ではなく、一振りの刀。
生身用に改造したIS装備でもなく、短刀より長く、脇差より短い程度の刀だった。
ISが生まれる以前の更識家が、代々受け継いできた小太刀。それを楯無は構えた。
「…
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