暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第64話「足止めの戦い1」
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る才能が多いのが逆に成長を遅らせていたんだね……)」

 “多才”……言い換えれば、それは“器用貧乏”である。
 なまじ伸ばせる能力が多かったため、一つに絞れずにいた。
 結果、一つの才を伸ばし続けていたオータムに劣る事となっていた。

「(……今となっては、後の祭り。今更どうしようもないね)」

 決戦の今の場においては、考えるだけ無駄となる。
 今更、その事実を変える事はできないのだから。

「(極めていない才で、“究極の一”には勝てない。半端な力だけでは意味がないのだから)」

 “質”では絶対に勝てないと、マドカは悟る。
 ……だから、マドカは別の手段を使う事にした。

「(“質”がダメなら……“量”で…!)」

 “多才”が足を引っ張ってしまったなら、“多才”で打開する。
 そう考えて、マドカは覚悟を決める。

「(……ぶっつけ本番!だけど、既に感覚は掴めてる!)」

 それは、今までマドカが習得していなかった属性。
 四つの内、三つは習得していたマドカは、それをまだ習得していなかった。
 否、それだけなら扱う事はできていた。
 他の属性と両立させる事で、習得したとマドカは思うようにしていたからだ。

「……技に、“火”を宿す!」

「っ!」

     ギィイイイイン!!

 今までとは違う手応えを、マドカは感じ取っていた。
 オータムもまた、その攻撃の重さを理解した。
 だからこそ、即座に次の行動を起こした。

「ぉおおっ!!」

「っ……!」

 即座にオータムは反撃する。
 今のマドカは、四属性を宿していたとしても、負担が大きいと思ったからだ。

 ……そう。“四属性全てを宿している”のだ。
 先程の時点で、マドカは“火”以外の三つを宿していた。
 それでも敵わなかったから、四つに増やしたのだ。
 しかし、当然とも言うべきか、土壇場でそんな事をすれば負担は大きい。

「おらぁあああっ!!」

「くっ……!」

 意識しないと保てないが、意識しすぎても保てない。
 その微妙なバランスを、戦闘しながら保つ。
 それは、脳に大きな負担を掛けていた。

「(……限界が先に来るか、適応できるか……棍比べ…!)」

 故に、これは一種の賭けだった。
 四属性を宿している状態に慣れれば、マドカの勝ちが決まる。
 だが、慣れさせないようにオータムがペースを崩し続ければ、マドカは負ける。

「(状況は圧倒的不利。だけど……!)」

「はぁっ!」

「っ、甘い!」

 ペースを崩そうと振るわれるブレードを、マドカは受け流すように弾く。
 そのまま流れるように反撃を繰り出し、オータムを後退させる。

「私を……私達を…
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