暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第64話「足止めの戦い1」
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
てはいるが、あちら程激しくぶつかり合う事がない。
 今もこうして、互いに様子見し合っていた。

「(……まずいわね。この気配…多分、“水”を宿しているわね。それも、簪ちゃん以上に正確な扱い方で…)」

 簪は“水”を完璧に扱える訳でなく、自分が扱いやすいようにアレンジしている。
 それでも強さは相当なもので、楯無はそれを身に染みて理解していた。
 …だからこそ、目の前のスコールの強さにも感付けた。

「………」

「あら、先程までと違って、攻めてこなくなったわね」

「……よく言うわ。わかってて言ってるでしょ。それ」

 無闇に手は出せない。
 迂闊に手を出すと、手痛い反撃が待っている事は明白だったからだ。

「(でもまぁ、だからと言って、退く訳にはいかないでしょ…!)」

 ついに楯無は仕掛ける。
 と言っても、“水”を宿した動きによる反撃を警戒しつつだ。

「っ!」

「あら、怖い怖い」

「くっ…!」

 繰り出される攻撃がゆらりゆらりと躱される。
 楯無は、躱す動作は見えるものの、それを掴み取る事はできない。

「ふっ!」

「っ…!」

 反撃に繰り出される鋭い蹴り。
 それを、楯無は紙一重で避ける…が、頬を掠める。

「女性の顔を容赦なく狙うなんて、ひどいじゃない」

「あら、女性同士の争いは結構ひどいものよ?」

 皮肉りあいながらも、互いに出方を探る。

「(……さて、どうしたものかしらね…)」

 状況としては、楯無の劣勢で戦いは展開されていった。









「っ、はっ、くっ…!」

 振るわれる剛腕をラウラは身軽さを生かして躱す。

     ガギィイン!

「っ…!はっ!」

 簪は“水”の属性を生かし、上手くいなして衝撃を最低限にしていた。

「これは……厳しいな」

「この二体だけ、性能が違う…?」

「わざわざここに用意するぐらいだ。当然だろう」

 他の部隊が足止めしているゴーレムはもっと弱かったと簪は気づく。
 それを抜きにしても、元々生身の人間ではゴーレムには敵わないものだ。
 だが、二人の強さもここ数年で大幅に上がっていた。

「気を付けろ、“風”の動きがなければ、すぐに追いつかれるぞ!」

「うん……!」

 ゴーレムの攻撃力、機動力は当然ながら人を大きく上回る。
 だからこそ、“風”を宿していなければ、相手する事すらままならなかった。

「っ!」

「くっ……!」

 何度も振るわれる剛腕を躱し続ける二人。
 一人で一体のゴーレムを相手取っているため、互いをフォローする余裕はない。
 今でこそ攻撃を躱せているが……。

     
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ