最終章:夢を追い続けて
第64話「足止めの戦い1」
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てはいるが、あちら程激しくぶつかり合う事がない。
今もこうして、互いに様子見し合っていた。
「(……まずいわね。この気配…多分、“水”を宿しているわね。それも、簪ちゃん以上に正確な扱い方で…)」
簪は“水”を完璧に扱える訳でなく、自分が扱いやすいようにアレンジしている。
それでも強さは相当なもので、楯無はそれを身に染みて理解していた。
…だからこそ、目の前のスコールの強さにも感付けた。
「………」
「あら、先程までと違って、攻めてこなくなったわね」
「……よく言うわ。わかってて言ってるでしょ。それ」
無闇に手は出せない。
迂闊に手を出すと、手痛い反撃が待っている事は明白だったからだ。
「(でもまぁ、だからと言って、退く訳にはいかないでしょ…!)」
ついに楯無は仕掛ける。
と言っても、“水”を宿した動きによる反撃を警戒しつつだ。
「っ!」
「あら、怖い怖い」
「くっ…!」
繰り出される攻撃がゆらりゆらりと躱される。
楯無は、躱す動作は見えるものの、それを掴み取る事はできない。
「ふっ!」
「っ…!」
反撃に繰り出される鋭い蹴り。
それを、楯無は紙一重で避ける…が、頬を掠める。
「女性の顔を容赦なく狙うなんて、ひどいじゃない」
「あら、女性同士の争いは結構ひどいものよ?」
皮肉りあいながらも、互いに出方を探る。
「(……さて、どうしたものかしらね…)」
状況としては、楯無の劣勢で戦いは展開されていった。
「っ、はっ、くっ…!」
振るわれる剛腕をラウラは身軽さを生かして躱す。
ガギィイン!
「っ…!はっ!」
簪は“水”の属性を生かし、上手くいなして衝撃を最低限にしていた。
「これは……厳しいな」
「この二体だけ、性能が違う…?」
「わざわざここに用意するぐらいだ。当然だろう」
他の部隊が足止めしているゴーレムはもっと弱かったと簪は気づく。
それを抜きにしても、元々生身の人間ではゴーレムには敵わないものだ。
だが、二人の強さもここ数年で大幅に上がっていた。
「気を付けろ、“風”の動きがなければ、すぐに追いつかれるぞ!」
「うん……!」
ゴーレムの攻撃力、機動力は当然ながら人を大きく上回る。
だからこそ、“風”を宿していなければ、相手する事すらままならなかった。
「っ!」
「くっ……!」
何度も振るわれる剛腕を躱し続ける二人。
一人で一体のゴーレムを相手取っているため、互いをフォローする余裕はない。
今でこそ攻撃を躱せているが……。
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