第159話 たった一人を助けるために
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に合流してるって話だ。隊長は意地でも女性客を見つける気でいるぜ」
「そうか。じゃあ、ジュリアさんもすぐに船を出てくれ。俺は例の女性客とフラヴィさんを捜してから脱出する」
「ハッ、臨時隊員の癖に副隊長様に指図か? 坊やも偉くなったもんだ。……まぁ、大人数でドタドタ捜し回っても、船が壊れるのを早めることになりかねないしな。ぶっちゃけ気にくわねーが、まぁ、ここは言うこと聞いてやんよ」
ジュリアさんは腕を組んでたわわな胸を強調しつつ、フンと鼻を鳴らして背を向ける。格下の言いなりになってしまうのは、やはり気に入らないようだ。
だが、ここに留まってフラヴィさんのサポートに向かいたい、というのはあくまで俺個人のエゴだ。それにジュリアさんを巻き込むわけには行かないし、下手をすれば分隊長三人が全滅する可能性だってある。
いざという時のためにも、ジュリアさんはレスキューカッツェには欠かせない存在なのだ。自分一人でも助けようとする程の責任感を持つ、フラヴィさんにも劣らないくらいに。
その想いが伝わったのか、肩越しにこちらを一瞥したジュリアさんは再び「しょーがねぇな」と肩を竦めて、俺の傍らを通り過ぎ――
「坊やがあと十年くれぇ早く産まれてりゃ、ちったぁ考えてやったのによ」
「……?」
――要領を得ない捨て台詞を残して、船の外へ飛び出していった。ぷるんと胸を揺らしながら豪快にボートに乗り込む様は、さながら歴戦の女海賊のようだ。
何が言いたかったのかはイマイチわからなかったが……まぁ、それはひとまず置いておくかな。今は――「全て」の人間を救出することに専念しよう。
女性客はもちろん、フラヴィさんも。
そして、俺自身も。
「よし……行くか」
……目指すは、フラヴィ班が最初に着地していた、船体前方にある内部への入口。
最後の救出対象を求め、俺は急な坂道となった床を駆け上がっていった。
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