暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第159話 たった一人を助けるために
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
に合流してるって話だ。隊長は意地でも女性客を見つける気でいるぜ」
「そうか。じゃあ、ジュリアさんもすぐに船を出てくれ。俺は例の女性客とフラヴィさんを捜してから脱出する」
「ハッ、臨時隊員の癖に副隊長様に指図か? 坊やも偉くなったもんだ。……まぁ、大人数でドタドタ捜し回っても、船が壊れるのを早めることになりかねないしな。ぶっちゃけ気にくわねーが、まぁ、ここは言うこと聞いてやんよ」

 ジュリアさんは腕を組んでたわわな胸を強調しつつ、フンと鼻を鳴らして背を向ける。格下の言いなりになってしまうのは、やはり気に入らないようだ。
 だが、ここに留まってフラヴィさんのサポートに向かいたい、というのはあくまで俺個人のエゴだ。それにジュリアさんを巻き込むわけには行かないし、下手をすれば分隊長三人が全滅する可能性だってある。
 いざという時のためにも、ジュリアさんはレスキューカッツェには欠かせない存在なのだ。自分一人でも助けようとする程の責任感を持つ、フラヴィさんにも劣らないくらいに。

 その想いが伝わったのか、肩越しにこちらを一瞥したジュリアさんは再び「しょーがねぇな」と肩を竦めて、俺の傍らを通り過ぎ――

「坊やがあと十年くれぇ早く産まれてりゃ、ちったぁ考えてやったのによ」
「……?」

 ――要領を得ない捨て台詞を残して、船の外へ飛び出していった。ぷるんと胸を揺らしながら豪快にボートに乗り込む様は、さながら歴戦の女海賊のようだ。

 何が言いたかったのかはイマイチわからなかったが……まぁ、それはひとまず置いておくかな。今は――「全て」の人間を救出することに専念しよう。

 女性客はもちろん、フラヴィさんも。
 そして、俺自身も。

「よし……行くか」

 ……目指すは、フラヴィ班が最初に着地していた、船体前方にある内部への入口。
 最後の救出対象を求め、俺は急な坂道となった床を駆け上がっていった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ