暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第1章 ヒーローの凱旋
第158話 ドラッヘンファイヤー、出動
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 その時までの間は、正式な資格だけを持つ「見習い」として扱われるため、社長の救芽井甲侍郎さんの判断により、来年まで俺のことは伏せられることになったのである。

 つまるところ、俺は正式な資格者としては試用期間中、というわけなのだ。
 ま、何の資格もないのに社長令嬢と仲がいいってだけで、高性能専用機の「救済の超機龍」を使って活動していた去年と比べれば、まだ正当な資格を得たと言える方ではあるだろう。

 ……そんなことを思い返しているうちに俺達を乗せたヘリは、例の豪華客船の真上にまで迫ろうとしていた。
 耳をつんざくようなヒステリックな叫び声が引っ切りなしに轟き、俺の意識を一瞬で現実に呼び戻す。

『残り百メートル! さァてめーら、腹括んな! デュボワ班は火災の鎮火! ビリンガム班は乗客乗員の誘導! 一煉寺班はディヴィーゲマントで海に漂流してる連中の回収に向かいな!』
『ふふ、了解です隊長。一煉寺様も、準備はよろしいですか?』

 ――天を衝くように燃え盛る、全長二百五十メートルの豪華絢爛な船体。逃げ惑う人々の悲鳴が響いて来るに連れて、視界全体に猛火が広がっていくようだった。

「……ああ! 一人残らず拾って見せる!」
『よぅーし、その意気だぜ旦那ァ。んじゃあ、行くぜ! 総員着鎧用意ッ!』

 その状況に気を引き締め、俺は唸るような声を上げる。次いで、フラヴィさんが通信越しに気合いを入れた瞬間、俺を含む隊員全員が、一斉に「腕輪型着鎧装置」を口元に寄せた。

 ……この一年間、「救済の超機龍」として年がら年中、レスキューヒーローとして活躍してきたんだ。この程度の現場、屁でもない。
 プロとして――どんな人間でも救える「怪物」として。絶対に、誰ひとりとして見逃さない。

 さぁ……始めるか。

『作戦開始ッ! 「レスキューカッツェ」、全員降下だァッ!』

 その指示が、下される瞬間。

『着鎧――』

「――甲冑ッ!」

 俺達全員が、同時に同じパスワード音声を腕輪に入力し――レスキューヒーローとしての姿である、パワードスーツを身につけた。仲間達は、純白のスーツ「救済の龍勇者」を。俺だけは、二本の角が付いた深紅のスーツ「救済の超機龍」を。
 そして全員が「着鎧」――すなわち変身を完了させるのと同時に、部隊全体に動きが現れる。

 フラヴィさんが紛する「救済の龍勇者」は数名の部下を引き連れ、燃え上がる船上へ一気に飛び込んでいく。着鎧甲冑ってボディラインが露骨に出るから、着鎧する人によっちゃ目のやり場に困るんだよなぁ……。

『では、一煉寺様。お先に――』

 そして、ジュリアさんも純白のヒーロースーツを纏い、フルフェイスのマスクで顔を覆い隠した仲間達と共に、船の端で逃げ惑う人々の元へ優雅に
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