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フルメタル・アクションヒーローズ
第155話 王が去るか、国が死すか
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勢いに火を付け、日本政府と決別し――国民全員で共に衰退へ向かうか。……二つに一つ、ということだな」

 重々しい口調で、和雅が呟く。その言葉を受けたジェリバンは、彼の隣に腰掛けている青年に視線を移した。

 短く切り揃えられた茶色の髪に、道行く女性達の誰もが振り向く、整い尽くされた目鼻立ち。強い陽射しに晒されているこの国には不似合いな白い肌。百八十センチはあろうかという長身。しなやかな筋肉。
 そして――額に色濃く残された、四方に裂けるように広がった傷痕。

「そういうことになる。……事情は聞いての通りだ。瀧上凱樹を屠ったというその力、存分に見せて頂こう。古我知剣一(こがちけんいち)殿」
「――えぇ。瀧上凱樹に家族を奪われた者同士、正々堂々と戦いましょう。僕も一度罪を犯した身とは言え、より多くの命を救うために生まれた『着鎧甲冑』に携わった人間です。王女様一人のために国を滅ぼす――そんなあなたの身勝手を、認めるわけには参りません」
「正直でよろしい。だが、それが親心というものだよ」

 その痛ましい傷を見遣り、ジェリバン将軍は目を細める。そして剣一の毅然とした眼差しを受け――両者は同時に立ち上がった。

 ……さらに。

「いい気になるなよジャップッ! ワーリはな、世界でいっち番強いんだっ! お前達なんかが敵うもんかっ! 父上と母上、そしてテンニーンのカタキめっ!」

 今までジェリバン将軍の隣で、感情を抑えて聞き手に徹していた王女――ダウゥ・アリー・アル=ダスカリアニィが、ついに怒りを込めた叫びを上げる。

「いいかっ! オレ達ダスカリアン人はな、今までずっと、耐えて生きてきたんだ! お前らジャップになぶられても、生きることを諦めずに! それをお前らは我が物顔で、土足でこの土地に上がり込んで……! しまいには復興だとか吐かして、いい人ぶりやがって! ワーリに止められなかったら、すぐに国防軍に言い付けてたところなんだぞっ!」

 ――まるで、瀧上凱樹に踏みにじられた人々の無念の全てを、自分一人で代弁するかのように。

「今に見てろよジャップ共っ! オレが大きくなったら、ワーリみたいな強い戦士になるんだ! お、お前らみたいなひ弱なジャップになんて、絶対に負けないぞっ!」
「……姫様、どうか落ち着いてください。そのような乱暴な言葉を使われては、国王様や王妃様に顔向けが出来ません。それに彼らは日本人ではありますが、国王様やテンニーンの仇を討ってくださった勇者でもあるのですぞ」
「うるせー! でもがんばれー!」

 話が纏まるまで、ジェリバン将軍に静かにしているように言われていたのだろう。鬱憤を晴らすかの如く、王女は手足をバタつかせながら大暴れしている。
 あどけなさを残しつつも、女性として整った顔立ちを持つ彼
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