第154話 十一年前の死
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生死など。
――数秒前に自分が殺した、勇敢な青年の覚悟など。
「この国の王族がどこかに居るはずだが……既に巻き添えで殺してしまったか? まぁいい。オレの正義を拒む国の長など、死、あるのみだ」
男は消し炭と化した青年を一瞥すると、忌ま忌ましげに呟きながら巨人の顔の中に引き返していく。彼に立ち向かう人間が既に全滅している以上、その背が銃口に狙われることはなかった。
そして、脳髄となる男が戻ったことで、動きを止めていた巨人は再び動き出し――破壊と殺戮を繰り返していくのだった。
一方、彼の力で虫けらのように消された青年は――絶命する直前、祈りを捧げていた。
いつの日か必ず、愛国心に溢れた父が報われるよう、この国に平和が訪れ……姫君が、幸せになることを。
そして……この国のために戦い、散って行った勇士達の無念が、晴らされることを。
――晴らしてくれる誰かが、現れることを。
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