第150話 ヒーローの始まり
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ら、彼を巡る女の死闘は、賀織が勝利を収めていると言えるかも知れない。――しかし。
「まだ、よ」
それは、あくまで「現状」でしかない。二人は確かに唇を重ね、想い合っているところがあるだろう。
だが、彼らは未だに正式な恋人同士にはなっていない。公認のカップルなら、いたたまれない空気に恐れをなして、龍太が逃げ出すはずがないからだ。
ならば、この戦いを諦めるにはまだ早い。第一次大戦の終結に過ぎないのである。
顔を上げ、新たに気合いを入れ直した樋稟は、頬を赤らめたまま視線を泳がしている賀織の傍に立つ。
「矢村さん」
「ふ、ふにゃっ!?」
そして、小さな肩に手を置き――誰よりも強く、毅然とした面持ちで宣言するのだった。
「第二次大戦は、始まったばかりなんだからね」
町の平和のため、空高く舞う少年を見つめる瞳。燻るような熱を帯びたその碧眼は、彼の大成を祈り、今日もまばゆい輝きを放つ。
――これはヒーローとして走り始めた少年と、彼の背を見守る少女達の、始まりの物語。
情けなく諦めの悪いレスキューヒーロー、「着鎧甲冑ドラッヘンファイヤー」の、誕生秘話である。
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