第146話 進撃の母上
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置いて行かれている感じだ。基本的に静観を決め込んでいる古我知さんや伊葉さんも、流石に唖然気味である。
――その時、俺の視界に救芽井の姿が留まる。
「……」
彼女は母さんにおちょくられている矢村達を遠巻きに眺めながら、どこと無く寂しげな表情を浮かべていた。明確に母さんから拒絶されたのが、かなり堪えているらしい。
……母さんの言うことは、確かに当たっているところもある。
俺が救芽井に関わらなければ、一生消えない傷を負うことも死にかけることも、母さんが習わせたくないとしていた拳法を始めることもなかっただろう。
だけど、俺はそのことで後悔はしてはいない。昔は救芽井のことを煩わしく思うこともあったが、今は違う。
彼女は――「今の俺」という「怪物」に理解を示してくれた、大切な存在だ。そう思う気持ちを「好き」と云うのかわからないけど……少なくとも、あのまま凹ましておくわけにはいかない。
だから俺は、今言う。
「なぁ、母さん。俺さ、嫁さんとか孫とかより先に、どうしても欲しいものがあるんだけど」
「えっ……? 太ぁちゃん、何それ」
これからずっとヒーローを続けて、いつか彼女が認めてくれた「怪物」になるために、きっと必要になるモノを。
「着鎧甲冑の――正式な所有資格だ」
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