第146話 進撃の母上
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ようになったのがきっかけで、少林寺拳法の修練にのめり込むようになったのは事実だ。でも、それは強いられたことじゃない。
矢村のために病院送りにされたのも、救芽井のために戦って撃たれたのも、結局は俺の意思でやってきたことだ。そしてきっと、これからもそれは続いていく。
事情を知られてしまった以上は、なんとか母さんにも、その気持ちは理解して貰いたいところなのだが……。
「あ、あの、お友達というのは……」
「だってあなたと結婚したら、太ぁちゃん、今よりもっと頑張っちゃうもの。確かにいいことなんだけど、それでこれより酷い怪我でもされたら、ママ卒倒しちゃうな。だから、太ぁちゃんにはなるべく普通の人生を送って貰いたいのよね。だからこれからも『良いお友達』として、太ぁちゃんのこと、よろしくね? あんまり干渉しない程度で」
「あ、あ、あぅ……」
徹底して釘を刺している。言葉は柔らかいが、間違いない。母さんは、救芽井を全力で「潰して」いるのだ。どうしても、母さんは俺をこれ以上着鎧甲冑に関わらせたくないらしい。
自分の子供が二度も死にかけたのだから、当然ではあるのかも知れないが――まずいな、これは。
俺は母さんに進言しようと口を開くが、母さんはそれより遥かに速く、撃沈した救芽井の近くで怯えていた矢村に目を付けた。
「ひ、ひうっ!?」
「あらぁ! あなたひょっとして、亮ちゃんが話してた、太ぁちゃんのガールフレンドッ!? やだぁ、ちっちゃくて可愛いッ! お肌もスベスベで健康的に焼けてるし、クリクリしてるお目目が堪らないわぁ〜!」
「あ、あわわわわ……!」
そして問答無用で抱き着くと、彼女の小麦色の肌にほお擦りを敢行する。自分が認めた「可愛い子」に行う、至って好意的なスキンシップなのだが、あのオーラを近くで見ていた本人はそれどころではないらしい。猛獣の住家に引きずり込まれたような顔をしている。
そんな彼女の怯えようなど構わず、母さんは矢村の脚や胸、腰回りを滑らかに撫でていく。セクハラだ。もはやセクハラの域だ。
「筋肉もしなやかで柔軟だし……悪くないわね。あなたなら、丈夫な孫を産んでくれるかもっ!」
「ふ、ふえぇえッ!?」
「お義母様ッ! 健康的なお孫様を望まれるのでれば、この超絶パーフェクトボディを誇る、ワタクシをぜひッ!」
さらにそこへ、話を聞き付けた久水が乱入して来る。親父はすっかり隅に追いやられ、「龍亮め、逃げおって……」と小声でぼやいていた。
救芽井も矢村も、母さんのオーラには怯えきっていたのだが――さすがというべきか、彼女は何一つ怯んだ様子を見せず、嬉々として母さんに接近している。
「あら、あなたは……確か亮ちゃんが言ってた、太ぁちゃんの初恋相手、だったかしら?」
「い
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