第145話 お見舞いラッシュ
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りやがって。兄ちゃん鼻が高いよ」
病室に突如として現れ、全員の注目を一身に集める青年。そのくせっ毛のある茶髪と、ムカッ腹が立つ程に整った目鼻立ち――間違いない。俺の兄貴・一煉寺龍亮だ。
流行りのカジュアルファッションに身を包む一方で、下にエロゲキャラをプリントしたシャツを着込んでいる、あの変態スタイル。該当者など、他に居るものか。
「あ、あの時のお兄さんッ!?」
「ちょっ、龍太のお兄さんやん……!? ど、どうなっとんの!?」
「りゅ、龍亮さん……!? 何故ここへ!?」
「えっ――ええぇえぇッ! りゅりゅ、龍太様のお兄様ですのぉおぉおッ!?」
面識のある救芽井や矢村、古我知だけではなく、俺の兄貴と知った久水も驚愕の叫び声を上げる。
俺の拳法の師であり、たった一人の兄。今は上京して、エロゲーメーカーに就職しているはず。どうしてここに……!?
いや、待てよ。確かゴロマルさん、スペシャルゲストがどうとか言ってなかったっけ。兄貴の口ぶりからして、ゴロマルさんから話を聞いて来たらしいし……そうか、スペシャルゲストってのは兄貴のことだったのか。
「ま、今回もとんでもねぇ目に遭ってたみたいだし、ある意味じゃ当然なのかもな。それと、今日来たのは俺だけじゃないんだぜ」
――はい?
「あらあらまぁ……太ぁちゃん、本当に酷い怪我。ねぇあなた、あれが治らないって本当なの?」
「仕方ないだろう、命には代えられん。……久しいな、龍太よ。その面構えを見るに、龍亮と離れてからも修練は欠かさなかったようだな」
兄貴の後ろから、さらに現れる男女の影。その声と姿があらわになった瞬間、俺は開いた口が塞がらなくなってしまった。
山のような体格と、坊主頭が特徴の大男。ウェーブの掛かった黒いロングヘアを持つ、妙齢の女性。その両方が、ベージュ色のスーツを着こなしている。
彼らのそんな格好を見るのは初めてだが、面識はある。というか、ない方がおかしい。なぜなら、彼らは――
「久しぶりね、太ぁちゃん。話に聞いた通り、モテモテじゃない。ママ嬉しいわぁ」
「ゴホン。まぁ、お前も男ならば、いつかは一人に決めねばならん時が来る。今のうちにしっかり悩んでおくことだ」
――俺の両親。一煉寺龍拳と、一煉寺久美なのだから。
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