第144話 確かな体温
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にスペシャルゲストを呼んだ……とか言っていたが」
「スペシャルゲスト?」
見舞いにスペシャルとかあったのか。つーか、ゴロマルさん行っちまったのかよ……ちょっと寂しくなってきたぞ。もうちょっと昔話に興じたかったのによ。
「とにかく、龍太君。瀧上凱樹にやられた国のことは僕達に任せて欲しい。代わりに、君が今後もレスキューヒーローを続けるつもりなら、樋稟ちゃんのこと……頼むよ!」
一方、古我知さんは俺が無茶苦茶しないかが余程心配なのか、手まで握って来る。あんたはウチのオカンか……。
――その時。
「はーい、ちょっとお邪魔しちゃうわよ」
「……お邪魔、します……」
聞き覚えのある女性の声が、二つ。
「し、四郷ッ……!?」
「鮎子! リハビリお疲れ様ですわ!」
「四郷! もうリハビリ終わったん? 順調やなぁ」
「来月には歩けるそうじゃない。やったわね!」
それが聴覚に届く瞬間、俺は思わず声を上げる。次いで、救芽井と矢村と久水が彼女に労いの言葉を掛けた。
「あ、鮎美さんッ!」
さらに古我知さんが頬を赤らめて驚愕し、この場にいる全員の視線がそこへ集中される。
部屋の入口から俺達を見詰めている、水色のショートヘアの少女。そして、その少女を乗せた車椅子を押している、蒼い長髪を束ねた美女。
間違いない。間違えようがない。四郷鮎美と――四郷鮎子。生身の肉体を取り戻した正真正銘の「姉妹」が、そこにいるのだ。
車椅子に乗った四郷は、相変わらずの無表情だが――その肌のみずみずしさは、以前とは掛け離れた温もりを湛えている。見ているだけでわかるのだ。もう彼女は、機械の身体ではないのだと。
「……あら。ホントにお邪魔だったみたいね。鮎子、どうする?」
「……大丈夫。男に走るつもりなら、少しずつ矯正していけばいい……」
――って、男に走る? 四郷は一体何を……?
「ちょっ、誤解です鮎美さんッ! ぼ、僕はただ龍太君が心配でッ!」
「あらあら、恥ずかしがることないじゃない。いいわよぉ別に。組み合わせ的には悪くないから」
「うぐあぁあああッ!」
古我知さんは急に俺の手を離すと、顔を赤くしたまま必死に身振り手振りで何かを弁解している。まるで、浮気の言い訳をしてる夫みたいだな。……いや待て。浮気ってなんだ。誰が誰と浮気なんだ。
一方、そんな彼の反応を楽しむように、所長さん――否、鮎美さんは妖艶な笑みを浮かべている。組み合わせ……?
何がなんだか正直さっぱりだが、古我知さんが頭を抱えて絶叫しているところを見るに、あまりいい話ではないのだろう。釈然としないところはあるが、迂闊に詮索しない方がいいのかも知れない。
「……鈍感」
そして、そんな俺に対
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