第142話 二つの罪
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「彼女達はこの件においては、瀧上の共犯……に近しい立場じゃが、殺戮行為に無理矢理協力させられていたことには違いないからの。国の監視付きではあるが、瀧上ごと消されることはなくなったわい。甲侍郎も、まさか政府の役人共にそこまではさせまい」
……どうやら、四郷姉妹は甲侍郎さんの采配で、処分を実質免れたらしい。俺のエゴに付き合ったり、殺されかけた姉妹を保護したり、あの人も大変だな。
そういえば、ここに居るのはゴロマルさんだけなのか? 救芽井達は元気にしてる……と思いたいのだが。
「甲侍郎は、部下を連れてさっさとアメリカ本社へ帰ってしまったよ。茂君も、救芽井エレクトロニクスとの支社設立の契約のため、東京に移動したらしい。二人とも、戦いの傷は至って浅かったからの。ワシも、明日の昼には成田空港へ向かうつもりじゃ。みな、それぞれの世界での『戦い』が山積みじゃからの。当分会うことはないと思った方がよかろう」
そんな俺の思案を掘り返すように、ゴロマルさんが口を開く。各々の仕事のために、彼らが散り散りになっていったという話を聞くと、改めて周りが「大人」ばかりなのだということを実感させられてしまう。
「そっか……久々に会えたのに、ちょっと残念だな」
「ほっほっほ。別に、今後一生会わんわけではない。いつかは二人きりで飲み明かしたいと、甲侍郎の奴も言っておったしのう」
「甲侍郎さんは、俺のこと否定してるんじゃ?」
「あやつも内心では、お前さんのやり方も一理はあると、認めているところがある。『生還に勝る勝利はない』とする多くのレスキューヒーローを預かる身として、お前さんの中にある『怪物』を容認するわけには行かん、というだけの話じゃよ」
「怪物」……か。その話もきっと、古我知さんから聞いてるんだろうな。俺みたいな奴を、立場から認められないというのなら、実績を上げてギャフンと言わせるしかないだろう。
横槍を入れて散々事態をややこしくしてくれた借りは、「ケチの付けようがないくらい無敵なレスキューヒーローになる」って形で返してやる。俺を認めない気でいるなら、成果で認めさせるまでだ。
「そういえば……救芽井達はどうしてるんだ?」
「樋稟も矢村ちゃんも梢君も、揃って待合室で眠りこけておる。鮎子君は、鮎美君とリハビリが終わった頃じゃろうな。何しろ、十年ぶりの生身の肉体じゃからのう。ままならぬことも多かろうて」
「……ま、慣れない身体だもんな。ゆっくり馴染んで行ければいいけど。しかし、揃って眠りこけて――か。また随分と心配を掛けちまったみたいだな」
「ふふ、今はそっとしておいてやろうと思っておる。三人とも明日になれば、お前さんが目覚めたと聞いて大騒ぎするじゃろうしな」
命が助かったはいいが、俺が寝てる間にとんでもなく迷惑を
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