第140話 魂に愛がなければ
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ぐぅ、おッ!」
瀧上にあっさり砕かれる装甲だったところを見るに、俺とあまり変わらない重量だと思っていたのだが――腕に掛かる負担は、想像を絶する重さとなっていた。
普段通りなら、こんな胴体一つを脇に抱えるくらい何でもなかったはず。ましてや、今はパワーアップしているというのに。
――どうやら、人工筋肉もとうとう過労でブッ倒れたみたいだな。「救済の超機龍」のスーツも、今となってはただの重たいプロテクター、ということか。道理で、スーツが死体のように冷たいわけだ。
一時はダメージ警告を繰り返していたバイザー映像も、すっかり機能を失ってしまっている。余りに酷使しすぎたせいで、自動で着鎧が解除されるシステムもイカれてしまったようだ。
……へっ。どこまでもシビアになって来やがる。口が瀧上で塞がってなけりゃ、今頃は乾いた笑いしか出て来なかっただろうな。
ここまでしても、待ってるのは罵倒や叱責だろうし……運命の女神様は俺を助けたいのか殺したいのか、どっちなんだよ?
「ふーっ、ふぅッ……う、ぐッ!」
――まぁいいか、どっちでも。俺は二人を連れて、いやがおうでも生き延びる。今気にすることはそれだけってことに、しとくかな。
俺は深呼吸を経て、今一度気合いを入れる。その瞬間、スーツの重みや疲労ごと押し上げて、俺は古我知さんを抱えたまま再び動き始めた。
目指すは、矢村が一足先へ向かっていた螺旋階段。そこにたどり着けば、あとは登るだけ――
「うおッ……!?」
――というところまで来たというのに、ここに来て落石が激化しやがったッ……!
浸水もさらに勢いを増し、さながら津波のような水流が、グランドホール全体を飲み込もうとしている。濁流に飲み込まれた瓦礫が、次々に轟音と共に流され、無惨に砕け散っていった。
「うっ……く、くそったれめッ……!」
もう数分も経たないうちに、俺の首まで海水に浸されそうな勢いだ。落石は格納庫まで行ければ避けられるだろうが、浸水はあの勢いなら、どこまでも追って来るだろう。
無駄な思考の一切を遮断する、濁流と落石の大合唱。戦いの中で目を背けていたその実態が、ここぞとばかりに牙を剥き、襲い掛かっているのだ。
この戦いを生き残る、最後にして最大の障壁。その壁が今、唸りを上げて俺に迫ろうとしている。
「間に合え……間に合ってくれよ……!」
死に物狂いで身体を引きずり、螺旋階段を目指す俺。その背では、破壊に次ぐ破壊の交響が神の怒りのように轟き続けていた。
生きるか死ぬか。脱出か圧死か。
その答えが決まる瞬間が、目と鼻の先まで、迫っている……。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ